韓国の次期大統領候補として注目される国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長が自国で批判攻勢に遭っている。国連事務総長を10年やっても北朝鮮の核問題を解決できないなどと酷評する声が相次いでいるのだ。“口撃”の主(ぬし)は、大統領選をにらんだ野党だが、北の脅威が一段と増すなか、後々ボディーブローとして効いてくる可能性もある。

 米ニューヨークで開催中の国連総会。潘事務総長は20日午後(日本時間21日午前)、安倍晋三首相と会談。首相は、5回目の核実験をした北朝鮮に新たな制裁を科す国連安全保障理事会決議の早期採択に向けて協力を要請した。

 世界で最も知られる韓国人の1人として同国内で大きな支持を集める潘氏だが、ここにきて、野党を中心に批判の声が目立つようになってきた。

 朝鮮日報(日本語版)は20日、「国連事務総長を10年やっても北の核問題を解決できなかった人物」と題した記事を掲載した。

 朴槿恵(パク・クネ)大統領を引き継ぐ与党セヌリ党の次の大統領候補の可能性が浮上していることを受けて、野党側が牽制。同紙によると、「共に民主党」の禹相虎(ウ・サンホ)院内代表が19日、国会で会見を開き、こう話したという。

 《「韓国人として国連事務総長の地位にあった10年間、北朝鮮の核問題を解決できなかった人物が、大韓民国の大統領になるため動き出すとなれば、国民はその能力を検証しないわけにはいかない」》

 同じく共に民主党のパク・ピョンソク議員も同日、ラジオ番組で《「現在名前が挙がっている大統領候補者たちの中で、潘事務総長だけが唯一実際に政治をやった経験がない」》と述べたとしている。

 まだ候補と決まったわけでもないなかでの野党の攻勢。現地事情に詳しいノンフィクションライターの高月靖氏は、「国民に大きな支持を得ている人物だけに野党としても候補になられると非常に厳しい。仮に潘氏が大統領になると3代続けて与党からの選出になるため、野党は機先を制したのだろう」と話している。