自宅で看取(みと)る意義や心構えを学ぶ福井県民公開講座が26日、福井市のフェニックス・プラザで開かれた。親を看取った家族の体験談や、医師や訪問看護師らによる再現寸劇を通し、患者と家族が在宅医療でともに「納得のいく最期を迎えられた」などと紹介。約270人が理解を深めた。

 福井県と県医師会、県歯科医師会、県薬剤師会が「人生最期をどう生きるのか 死ぬことから考える生き方」をテーマに開いた。

 体験談では、96歳の父親の最期までの1カ月間を在宅医療にした男性が「余命宣告後、久しぶりのわが家に父は感慨深げだった」と振り返った。「訪問介護員が洗顔、シャンプー、世間話までしてくれ、父は笑顔を見せた。住み慣れたわが家で最期までの時を過ごせて喜んでいたと思う」と話した。母親を自宅で看取った女性は「主治医、看護師、ケアマネジャー、歯科医師ら多くの人の支えを受けながら、思いの限り母の世話ができた」とし、「自宅での看取りは決して怖くない。家に帰りたい母と、家で看取りたい私の思いを実現でき、亡くなった後も前向きになれた」と振り返った。

 寸劇は妻、長男と3人暮らしをする70歳男性が、がんで余命数カ月と告知される設定で、医師ら9人が演じた。在宅主治医や訪問看護師らの役割や、酸素供給機を設置する療法、がんの痛みを落ち着かせる注射など自宅でできる医療を紹介。その一方で孫らと楽しく過ごしながら、財産相続や手続きなどを済ませていく生活の様子を伝えた。

 医師や歯科医師、薬剤師、訪問看護師、ケアマネジャー、県職員による意見交換も行われた。聴講者からの「高度な医療も在宅でできるのか」との質問には「人工呼吸器を使うなどの高度な医療も、在宅でできないことはない。管理は訪問する医師がきちんと行う」とした。家族が休息したい場合には、患者を一時的に入院させる「レスパイト入院」制度も紹介した。