自身7連勝で防御率もリーグトップ維持、大車輪の活躍で地元紙が“手のひら返し”

 21日(日本時間22日)の敵地レイズ戦に先発し、自己最多となる14勝目(4敗)をマークしたヤンキースの田中将大投手。3回に自己ワーストとなる1イニング4本塁打を被弾したものの、6回4失点で自身7連勝を飾った。防御率は2.97から3.07に悪化したが、リーグトップをキープしている。

 田中はルーキーシーズンの2014年7月に右肘を痛め、靭帯部分断裂と診断されたが、トミー・ジョン手術を回避。ヤンキースが保存療法を選択したことは、当時の米国内でも大きな物議を醸した。しかし、今季、日本人右腕がチームのプレーオフ進出へ望みをつなぐ大車輪の活躍を続けていることを受け、辛辣なNYメディアは当時の選択を「正解だった」と“手のひら返し”で称えている。地元紙「デイリーニューズ」が報じている。

 記事では、ルーキーシーズンに“宝刀”のスプリットを武器に三振の山を築いた田中の肘に故障が発覚した際のメディアとファンの声を振り返っている。

「彼にはトミー・ジョン手術が必要だ!」
「同じ選手には戻れない。手術を乗り越え、1年後に復活だ」
「何を待っているんだ? 肘は爆発寸前だ。すぐにでも手術だ」

捕手のマッキャンも「良い選択だったようだね」

 ヤンキースは当時、自らの血液から抽出した多血小板血漿を靭帯に注射し、患部の修復を促すPRP療法を田中に受けさせた。しかし、日本人右腕がリハビリ後に復帰してからも、肘に“爆弾”を抱えていると危惧し、手術の必要性を主張するメディアやファンは決して少なくなかった。

 その“運命の選択”から26か月が経過。「デイリー・ニューズ」でヤンキース番を務めるマーク・フェインサンド記者は「タナカの肘はまだ爆発していない。5日か6日おきに登板を続けるだけでなく、ア・リーグの他の投手と同様に投球をしている。みんな、もう認める時がきた。田中とヤンキースは正しい選択をしたのだ、と」と当時の選択を「正解」と断言。記事の中では、ブライアン・マッキャン捕手も「良い選択だったようだね。彼はとても安定している。数字が物語っているけれど、彼がマウンドに上がるたびに自分たちも試合に勝てる気がするんだ」と語っている。

 同僚から全幅の信頼を受ける田中の防御率は、レイズ戦前の2.97から、4失点で3.07に悪化した。それでも、リーグトップを守っている。また、代替可能選手と比較し、どれだけ勝利数を上積みしたかを表すセイバーメトリクスの指標WAR(Wins Above Replacement)も5.6でリーグ2位。WARは、現在のメジャーで選手を評価する指標として最も重視されているものの1つだ。

 さらに、投球回数はリーグ7位の199回2/3で、自身初となるシーズン200イニング到達は目前。シーズンを通して先発ローテーションを守り、31試合に先発してきた。

自身初の200イニング到達も目前、指揮官は「大きなステップ」

 記事によると、ジョー・ジラルディ監督は26か月前に田中が故障した際のクラブ内の反応を以下のように振り返ったという。

「靭帯の状況について聞いた時のクラブ内の最初のリアクションは手術をすべきだ、というものだった。だが、そういう状態でも最終的に断裂するまで長い間、投げ続けている選手も大勢いる。時期尚早だったし、単に手術をするというのは意味をなさなかった」

 また、今季、素晴らしい成績を残しているエースについて、指揮官は「彼が耐久力と同時に高いレベルで投げていることを示している。200イニングも目前だ。彼への期待はすでに言い尽くされているが、私としては大きなステップだと受け止めている」とも語ったという。

 最近では、田中についての現地報道で、肘のことに触れられることすらほとんどなくなった。ただ、ジラルディ監督は記事の中で「彼のイニング数とスケジュールに関してはある程度考慮していくと思う」とも説明。「今年が彼の3年目だが、調整に関しては、まだ我々が考慮する点もある」としており、スケジュールが許せば休養日を増やして登板間隔を調整していることなども明かしたという。

 もっとも、このままの力投を続け、今後、日本人初となるサイ・ヤング賞を獲得することがあれば、辛口で有名なニューヨークメディアもさらなる賛辞を送ることになりそうだ。