今季成績は軒並み低迷…地元メディアは再契約の可能性は低いとの見方

 プレーオフ地区シリーズでインディアンスに敗れたレッドソックスは、主砲デービッド・オルティスが引退した感傷の余韻を残しつつ、早くも来季に向けて動き始めた。気になるのは選手の去就。上原浩治、田澤純一の両投手は、今オフ揃ってフリーエージェント(FA)になる。途中怪我で戦列を離れながら、復帰後は目覚ましい活躍をした上原は、年齢や耐久力など懸念材料も多いが、大幅な年俸カットで再契約の可能性あり、というのが大方の見方だ。

 一方、2009年の入団以来、ブルペンの主要メンバーとして働いてきた田澤は、来季は他球団のユニフォームを着ているのではないか、という意見が多い。今季は53試合に投げて、防御率4.17、被本塁打数9、WHIP(1回あたりの安打数+四球数)は1.228と、比較的低調なシーズンを送った。8月中旬以降は登板機会も減り、プレーオフ地区シリーズでは登録メンバーに入れず。FA退団への布石が打たれているようにも見える。

 そんな中「見過ごされがちなタザワの功績を称えよう」と特集記事を組んだのが、米野球専門誌「ベースボール・プロスペクタス」電子版だ。レッドソックスの地元ボストンに拠点を置くマット・コリンズ記者は「ジュンイチ・タザワにも感謝しよう」と題した記事の中で、入団以来8年にわたり残した功績を称えている。

2012-14年の田澤は「野球界で最も過小評価されていた」!?

 記事では、田澤が「野球界で最も過小評価されていた2012ー14年」のデータを紹介。この期間の防御率は30球団全リリーバーの上位20パーセントに入り、投手力を示す指標FIPは同じく上位12パーセントに入っていた、としている。また、田澤の最も優れた資質は「制球力」で、同時期のK/BB(四球数に対する奪三振数の割合)は5.3という数値を示し、規定をクリアした170人のリリーフ投手の中で4位にランクしているという。

 元ロッテ監督のボビー・バレンタイン氏が指揮を執った2012年は、レッドソックスは不名誉な地区最下位に低迷。だが、記事では「この年の数少ない光明が田澤だった」とし、「どこからともなく現れ、頼れる武器になった」右腕は、この年、投手力を表すスタッツDRA-(82)とcFIP(74)は平均値100を大きく下回る数値で(少ないほど優秀)、キャリア最高の数値を示しているとしている。サイ・ヤング賞の有力候補とされるインディアンス先発クリーバーの今季DRA-とcFIPの数値が、それぞれ81と78であることを考えれば、いかに優れた数値か分かるだろう。

 レッドソックスがワールドシリーズ優勝を果たした2013年の活躍ぶりは言うまでもない。71試合に投げて、防御率は3.16。プレーオフには13試合に登板しながら、わずか1失点で、守護神を務めた上原と勝利の方程式を築いた。記事では、特に印象的だった場面として、タイガースと戦ったリーグ優勝決定シリーズ第3戦をピックアップ。1点リードの8回1死一、三塁の場面で、タイガース主砲カブレラを4球で空振り三振に斬り、「チームは重要な試合を勝てた」と指摘。田澤がいかに大きな役割を果たしたかを紹介している。

 記事は「オルティスの旅立ちで目立たないかもしれないが、タザワもこんなに貢献している。タザワだって、少しは光を浴びてもいいはずだ」と締めくくられている。NPBを経ずにアメリカへ渡ったため、ともすると日本でも過小評価されがちな田澤だが、厳しい目を持つことで知られる米メディアに高評価されていることは、自信と誇りにしていいのかもしれない。