驚くべき「変化球の主体の投球」、ストレートはわずか40%

 球界屈指の変化球の使い手と言えば、この男の名前を挙げるファンも多いだろう。オリックス・金子千尋。33歳の右腕は過去2度の最多勝を獲得し、通算104勝をマークしているパ・リーグを代表する投手だ。

 しなやかな体から力みのないフォームで繰り出される変化球は、7種類とも言われる。そんな右腕が昨季、どの球種を最も投げ、どの球種で最も空振りを奪ったのか。「パ・リーグTV」提供のデータをもとに分析した。

 金子の昨季の総投球数は2736球。ストレートを含めた全8球種の内訳は以下の通り(カッコ内は総投球数に対する割合)。

○ストレート 1097球(40.1%)
○チェンジアップ 494球(18.1%)
○スライダー 428球(15.6%)
○スプリット 258球(9.4%)
○カーブ 197球(7.2%)
○シュート 122球(4.5%)
○カットボール 112球(4.1%)
○ツーシーム 28球(1.0%)

 まず驚かされるのは、変化球が占める割合だ。投手陣は西武・菊池(56.1%)、日本ハム・大谷(54.3%)、ロッテ・石川(54.3%)のように、直球の割合が50%を超えている投手も多いが、金子はわずか40.1%にとどまり、チェンジアップ、スライダーを柱とした変化球の割合は59.9%。5球のうち3球は変化球を投げている計算となり、「変化球主体の投球」と言ってもいいだろう。

空振り率は10.8%、そのうち最も空振りを奪った球種は…

 奪った空振りは296球で、空振り率は10.8%。では、これらの持ち球のうち、最も空振りを奪っている球種は何か。次のデータからひも解く(カッコ内は球種ごとの空振り率)。

○スプリット 58球(22.5%)
○チェンジアップ 99球(20.0%)
○スライダー 39球(9.1%)
○カットボール 8球(7.1%)
○ストレート 72球(6.6%)
○カーブ 13球(6.6%)
○シュート 7球(5.7%)
○ツーシーム 0球(0%)

 1位はスプリット、次いでチェンジアップがともに20%台で高い空振り率を誇っている。バットの芯をずらし、ゴロを打たせる狙いがあるツーシームを除き、以下はスライダーからシュートまで5〜9%台をマーク。ただ単に球種を豊富に持っているだけでなく、しっかりと持ち球として機能していることの裏返しだろう。

 一方で、2度目の最多勝を獲得した14年以降、2年連続で7勝にとどまり、思うような結果が残せていないことも事実だ。年齢は今年34歳を迎える。ベテランの域に入ると、投球スタイルを変化させる投手も少なくないが、エースとして3年ぶりの2桁勝利を期す今季、どんな投球を見せてくれるのか。背番号19から放たれる変化球に注目すれば、試合を一段と楽しむポイントになるはずだ。