注目浴びる燕ドラ1左腕

 ヤクルトのドラフト1位ルーキー、履正社から入団した寺島成輝投手が新人合同自主トレから早くも存在感を示している。早々に真中満監督が1軍キャンプスタートを示唆し、埼玉・戸田の2軍施設で行われた1キロ走も他の新人選手を圧倒する速さを見せた。

 寺島は東京と大阪で幼少期を過ごし、高校では名門・履正社に入学。1年生から注目を集めていた投手で、練習熱心であり、努力家。チームで主将も任されるなどリーダーシップもとれる。1年生から公式戦に登板し、2年時にはエースになった。150キロの直球に緩急をうまく使い、巧みな投球術を見せるなど、早くから一目置かれる存在だった。

 ただ、この将来有望の好左腕に対して、プロのスカウトは最初は小さな疑問を持っていた。ドラフト1位になれるだけの選手ではあったが、「全力で投げたら、どんなボールを投げるのか見てみたい」とスカウトが話すほど、どこかで力を抜く、力感の少ない投球フォームだった。

 キャンプが始まり、ブルペンに入っても、寺島のスタンスは変わらないだろう。これが強みであり、武器でもある。クレバーな投手の証なのだ。

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「100パーセントの投球というものがわからない」

 寺島はこう話したことがある。

「自分の中で100パーセントの投球というものがわからないです。まだ(球速が)出せるのかどうかもわからない。僕はコントロールを意識しているので、僕の中で思い切り投げると、むちゃくちゃになってしまうかもしれない感じがある。8、9割でもコースに投げるのが100パーセントじゃないかなと思う」

 練習も野球も、1キロ走るのも全力だ。ただピッチングは違う。全力の1球ではなく、完投ならば9イニングのトータルで力を出すという全力投球ができる投手なのだ。力任せにならず緩急を大事にする。それでいてストレートの回転数、キレを求め、質を高めている。18歳ながら頭の中でプランニングができる頼もしいルーキーだ。

 早くも注目集め始めた寺島。世間をアッと驚かせるのはもっと先のこと。球界を背負う左腕になっていくだろう。