ギャラクシー賞月間賞:
報道の魂SP
「米軍が最も恐れた男〜あなたはカメジローを知っていますか?〜」

8月21日放送
25:00〜26:00
TBSテレビ

 沖縄の政治家、瀬長亀次郎の抵抗の人生を描き、今の翁長県政にその流れを見る。その名を「知っていますか」と語りかけるのは、そこに問題の核心があるからだ。

 瀬長には大衆運動家、民族主義者、さまざまな「肩書」が浮かんでも、それは東京で考える概念とは異なる。唯一の地上戦で10万人近い県民が亡くなり、戦後は米軍統治の下にあった沖縄で瀬長はどう生きたのか。「人民党事件」など、米軍が瀬長に向けた“弾圧”、米軍による“罷免”を恐れなかった那覇市長時代、証言するのは、当時の那覇市役所職員など文字通り関係者である。大衆運動ではなく、市長を語る職員の証言は、なかなか新鮮、意外なものがある。

 そして今。普天間飛行場の移設に伴い、名護市辺野古に“新基地建設”を国が進めていること、北部訓練場のヘリパッド建設問題などを、瀬長が生きた時代の出来事とあわせて伝える。

 「沖縄に寄り添う」といいながら、結局、「本土の視点」で沖縄を見ることでは、今も昔も変わらないことを制作者は最も言いたかったのではないか。

 瀬長の愛した「不屈」という生き方、言葉。瀬長と民衆資料を集めた那覇市の不屈館には、この番組を見て訪れたという人が、多々あるとか。その館長である次女は、瀬長の訴えを「オール沖縄」だという。先の参議院選挙の結果が思い起こされる。

 この番組は、いつもは30分枠だが、今回は1時間のスペシャル枠。放送局にも、東京からの視点があるとすれば、戦後71年を語るべきタイミングに、あえて沖縄をテーマに戦争を語ったことには敬意を表する。瀬長亀次郎は、決して昔の人ではない。国会議員として赤絨毯の上を歩いていたこともあるが、渡り合った首相が沖縄返還の佐藤栄作だったことにも、番組は注意を促す。

 沖縄に、保守、革新はじめ東京発の考え方を当てはめてしまう過ちの原点。それを極めてわかりやすく解説していた。(岩城浩幸)

★ギャラクシー賞月間賞とは?=NPO放送批評懇談会が、優れた番組を自主的に選び出す制度。月間賞に選ばれた番組は、年間のギャラクシー賞審査に自動的にエントリーされる。