左がKislyi氏、右がFadl氏
先日幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ2016にて、Wargaming.netのCEOであるVictor Kislyi(ビクター・キスリー)氏とHead of Global Competitve Gaming担当のMohamed “Mo” Fadl氏にインタビューを行いました。このインタビューでは、近年の日本におけるe-Sportsに関することや注目されつつあるWW1要素などについて聞いた内容となっています。

――TGS 2015からTGS 2016までの1年間におけるWargaming.netの活動について改めて教えて下さい

Kislyi氏: 2015年に発表したPS4版『World of Tanks』。あの時発表したものが直ぐに正式サービスに入り、多くのユーザーに楽しんで頂いた事に加え、現在も大きく成長していることから、そういった意味では「新しいコンソールに足を踏み入れた事」が、去年から今年までの大きな違いだと思います。

さらに『World of Tanks』においては、アップデートにおいて新しいマップや車輌など多くのコンテンツの追加がありました。『World of Warships』もこの1年で、艦艇の数やマップの数が倍以上に増えています。またそれ以前では『ガールズ&パンツァー』や『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』のコラボレーションを実施。さらに今年のTGSでは『ハイスクール・フリート』やセガの『戦場のヴァルキュリア』、『終末のイゼッタ』など様々なコラボレーションを行うことが出来ました。

また私達が今まで作って来たゲームとはまた一線を変えたのが『Master of Orion』で、従来Free-to-Playでリリースしてきたゲームとは全く違う、パッケージング販売されたタイトルです。そのため、今までのWargamingとは全く違う作品となっています。

――他のゲーム会社とコラボをしないと噂されていたWargamingが、今回セガとコラボレーションしたことに驚きました。実現したきっかけとはなんでしょうか?

Kislyi氏: 私達は実を言うとセガの方々(主にヨーロッパ支部)と良い関係性を持っていて、よくコーヒーを飲みに行くくらいの仲ではあります。さらに今回この作品においては『World of Tanks Blitz』と非常に良い関連性を持てると思ったのも一つの理由です。『戦場のヴァルキュリア』には戦車が出てきますし『World of Tanks Blitz』は今現在カジュアルなタイトルとなっているので、こういった架空の戦車を導入してもユーザーの方々は嫌がったり嫌ったりすることなく、喜んで受け入れてもらえます。そういう意味で『WoT Blitz』のユーザー層に最も適したコラボであると考えています。


またもちろん、私たちは常にコラボを受け入れているわけではありません。もし他社の作品に、私達の作った『WoT』の戦車や『WoWs』の艦艇が必要であれば、ご相談頂きたいので、ご興味がある方々は是非コンタクトしてきて下さい。

戦車や艦艇だけでなくマップも沢山作っており、今回新しく入った“Paris”というマップは、フランスのパリそっくりに作成されています。街全体ではありませんが一区画を細かく作り込んでいるので、例えば「パリをマップにしたレースゲームを作りたい」のであれば相談してくれれば提供することが出来ます。

――逆に興味があるタイトルや、アセットを提供してみたいたいジャンルなどはありますか?

Kislyi氏: レーシングゲームに、非常に興味があるため、良いタイトルであれば喜んで提供します。

――2016年8月末にリリースされたSFストラテジー『Master of Orion』ユーザーからの反応や、今後もパッケージングされたタイトルのリリースの予定などあれば教えてください

Kislyi氏: 今現在2種類のフィードバックを受け取っています。最も多いフィードバックの1つは、多くの方々が新しい技術と綺麗になったグラフィック、そして音声などのリメイクされた要素に関して非常に多くのポジティブな意見です。もう一つのフィードバックに関しては、いわゆる「昔のオリジナル版が本当に好きだった」というユーザーによるもので、リメイクされた物に関して拒否反応的に受け取られており「どうして変更してしまったのか」や「昔のあの機能の方が良かった」などの意見を受け取っています。

Wargamingには何らかの物事を実施した時に、それが「どれぐらいの成果を得たか」や「どれくらいの方々に喜ばれたか」などを、継続してやるべきか否かを考察する部署があります。そのためその部署が「『Master of Orion』が素晴らしい成果を出したため、今後もやるべきだ」と判断を下せば今後もでるかもしれません。

――ここ1年以内の日本におけるe-Sports展開の手応えはどの様に捉えていますか?


Fadl氏: ここ一年で日本のe-Sports界隈は非常に大きく成長したと思います。過去には日本のチームと言えばあまり表に出ることは少なかったのですが、昨今ではCaren TigerやB-Gaming、プロチームのSCARZなどが参戦し、素晴らしい成績を残しています。後は、日本やアジアから羽ばたいて世界大会へと進んで欲しいですが、元々日本人はAIと戦うのが好きな印象をもっていまして、ランキング集計をハイスコア制にしたこともありました。近年では『ストリートファイター』の大会が昔から開催されているように、非常に大きく成長していますし、e-Sports関連の大会がどんどん増えていっているので、非常に積極的に日本のユーザーも参加しているように思えます。

――先日の『WoT』における戦車誕生100周年のイベント実施に加え、『Battlefield 1』などのタイトルが舞台を第一次世界大戦にしたためこの時代に注目が集まっています。『WoT』においてWW1コンテンツを追加する予定はありますか?

Kislyi氏: Wargamingにおいて特に第一次世界大戦を大きく取り上げる予定はありません。戦車誕生100周年のイベントは、あくまでも戦場に登場した、原点となる初めての戦車を記念したものであり、『WoT』が戦車のゲームであることを含めてお祝いしたかったからです。特にここから第一次世界大戦へとシフトする予定はありません。

――アニメ『終末のイゼッタ』を東京ゲームショウ2016で先行上映する意図とはなんでしょうか?

Kislyi氏: Wargamingとしては、これを特別な何かと捉えているわけではありません。何故かと言えば、他のゲーム会社を見渡してみると様々なことが行われています。例えば『Minecraft』であれば、ゲームなのに全く関係のない分野で様々なことをしています。そういった形で私達も色々なことをやっていますし、今回はたまたま日本のユーザーに向けたコンテンツの一つとして施策をとりました。

――VRコンテンツの本格的な実装について教えて下さい。

Kislyi氏: VRは確かに今とてもホットなトピックで多くのユーザーが話題にし、今回のTGSでも様々なブースで取り扱われています。私達もVRに関する関心がないわけではないですが、今回のような「360°視界モードの『World of Tanks』」の出展や様々な360度映像など配信しています。ただやはり、VRをご家庭で持っているユーザーはほとんどいません。値段や流通も含め、いずれはユーザーの元へ届くとは思いますが、出展されているものがそのまま「はいどうぞ!」という形で提供されることは、しばらくないと思います。ただVRコンテンツを来年か再来年提供する予定はありますので、VRデバイスが普及してからちゃんとしたものをリリースしたいと考えています。


――『World of Tanks』は正式サービスを開始してから5年以上経過しています。今後5年や10年継続するに当たって何らかの計画はありますか?

Kislyi氏: 『WoT』は私の中で10年も20年も持つタイトルであると思います。なぜかと言えば、「『WoT』はリリースして終わり」というタイトルではなく、私達は新しい要素を組み込んでアップデートを続けているので、将来的に新しいコンテンツが増えたり、グラフィックが向上したりと多種多様な要素を更新し続けています。ですので、そういった意味では常に最新のゲームを提供しているという形となっていると思います。

Fadl氏: Wargamingが他のゲームと比較した際に大きく異なる部分としては、私達がゲームを提供した後に様々なサポートや体験を提供しています。例えば今回のような東京ゲームショウに参加してみたり、オフラインイベントを開催したり、e-Sportsの様なイベント、映像コンテンツなどを提供しています。ゲームだけで完結させないことによって、よりユーザーの方々に生活の一部のような形にしていこうと考えています。

――大河原邦男氏(装甲騎兵ボトムズや機動戦士ガンダムのメカデザイナー)によるオリジナル戦車の発表に驚きましたが、アニメのメカデザイナーだけでなく工業デザイナーなどによるオリジナル戦車も作り出していくのでしょうか?

Kislyi氏: 『World of Tanks Blitz』は特殊な例で、従来のPC版『WoT』は歴史的な戦車や概念を大切にしているので、『WoT Blitz』に登場するような特殊なものを登場させていません。ただ『WoT Blitz』は、こういうものが喜ばれて受け入れられているため、初めての挑戦としてオリジナルの車両を導入することになりました。実際のところ『ガールズ&パンツァー』の車両や、今回の『戦場のヴァルキュリア』そして大河原邦男氏デザインの戦車など、ユーザーの皆様が求めてきたものなので今後も続けていけると思います。

私の息子は小さいのですが『WoT Blitz』を遊んでいまして、『ガルパン』の戦車やスター・ウォーズの仕様のあやしいもの、フランケンシュタイン戦車という歴史とは全く関係のないものが好きなので、そういった意味でもこれはやはりユーザーの方に楽しんで頂くという概念のもとには正しかったと思います。

――最後に日本のプレイヤーに向けて一言お願いします


Kislyi氏: 私達Wargamingでは、様々な国で展開をしていますが、その中でその地域に適したコンテンツやローカライズなどを提供しています。それは日本においても変わらないことです。そして4年前にWargaming Japanが設立されましたが、その時はまだPC版『World of Tanks』しかないことに加えて、日本のプレイヤーの方々は、実は他の地域を比較した際にPCでゲームをプレイする人口というのがそこまで多くありませんでした。

そのため、他のプラットフォームでも提供するという約束をして、結果として今現在モバイル版の『WoT Blitz』やコンソール向けのPS4/Xbox One/Xbox 360版を提供してきました。そういった意味もありますし、別で各地域のためだけのアニメとのコラボレーションやアイテムを出してきました。そういった感じで、私達は常に日本のユーザー、世界のユーザーに向けてコンテンツの提供を歩み寄りながらやっていきたいと思っています。


Fadl氏: 私のメッセージはeSportsプレイヤー向けのメッセージになるのですが、日本のプレイヤーの方々が非常にゲームが上手で、前述の3チーム(Caren TigerやB-Gaming、SCARZ)のような強いチームがいることをしっかりと理解しています。彼らに是非勝ち上がってもらい、日本のユーザーは彼らのチームをサポートすると共に応援してあげてください。

――本日はありがとうございました