◇国内女子◇スタンレーレディス 最終日(9日)◇東名CC(静岡県)◇6586yd(パー72)

球を見つめるアン・ソンジュ(韓国)の顔が、確かな自信に満ちていた。イ・ボミとのプレーオフ1ホール目。18番(パー5)の3打目は残り105yd。48度のウェッジで放った球は、ピンをかすめて上1.5mにぴたりと止まった。

「チャンスは1回しかないと思っていた。48度のウェッジの調子は悪くなかったし(当たりが)薄いと段の下に止まることもあるから、結構強く打ちました」。このバーディパットを沈めて勝負あり。勝負どころの見極めと、それをものにする集中力と高い技術が勝っていた。

イとの唯一のプレーオフ対決は、2012年の「ヨコハマタイヤPRGRレディス」。このときはイが競り勝ち、日本ツアー初優勝をつかみ取った。「その記憶も出てきたけど、私がミスして負けたから、今日はミスだけしないように頑張ろうって。リベンジじゃないけど、そんな感じでやりました」と、過去の傷を強さに変えた。

決して万全な体調ではなかった。開幕前日にはストレスから体にかゆみが出て、プロアマ戦の表彰式を欠席して病院へ駆け込んだ。2カ月前から左手首に痛みも出るという。「つらかったけど、集中すると痛みはなくなる。でも、今から体のケアをちゃんとしないと、シーズン最後までできないと思う。最後まで試合をするのが、大事な目標です」。

アマチュア優勝を阻止する形になったが、過去3度の賞金女王は「正直(意識は)なかった」と首を振った。「アマチュアっていうのは名前だけで、プロよりもうまいから。勝(みなみ)さんもそうだし、畑岡(奈紗)さんは先週テレビで見て、パットがうまくて、ショートゲームもうまい感じがあった」。

「アマチュアにまたカップを上げられたら、プロのプライドが下がるということはあるけれど、最後まで頑張ったら負けないんじゃないかという気持ちでやった」と付け加えたのは、リップサービスか。

「機会があれば(アマチュアたちと)一緒に回って勉強したいです」。今季2勝目、ツアー通算22勝目を挙げたアンは、謙虚で、かつ貪欲だった。(静岡県裾野市/今岡涼太)