◇国内男子メジャー第3戦◇日本オープンゴルフ選手権競技◇狭山ゴルフ・クラブ(埼玉)◇7208yd(パー70)

ここ数年、男子ツアーの低迷と女子ツアーの隆盛が対照的に語られている。だが、石川遼やアダム・スコットが参戦し、松山英樹が初優勝した「日本オープン」は4日間で大会歴代2位の計4万5257人の観客を動員したことも話題となった。日本ゴルフの潜在人気を示した大会? 本当にそういう理解でいいのだろうか。

松山は優勝会見で「今の男子ツアーは人気がないとか言われているけど、僕と遼、アダム(・スコット)が出れば、これだけギャラリーを呼べるというのは分かった」と力強く語った。

石川遼も同様だった。最終日のホールアウト直後に語ったのは、自身のプレーよりも、今大会の雰囲気に感銘した率直な心境だった。

「ナショナルオープンにふさわしい雰囲気だったと思う。みなさんの観戦マナーも、他の国に誇れる雰囲気だったと思うし、拍手もいままで出た試合で一番もらったと思う。毎ホール、ティグラウンドにいけば拍手をもらったし、最終日にこの位置でプレーしていた選手は全員そうだったと思う。すごいと思った」。

確かに会場となった狭山GCの雰囲気は格別だった。パー3ホールのティからグリーンまでぐるりと取り囲んだギャラリーは、選手がティショットに入ろうとすると全員が水を打ったように静まりかえり、一点に注目する。常にざわついている海外の試合では、ありえない光景だった。

そんな中、予選ラウンドで松山、スコットと同組になった石川は「アダムと英樹が(お客さんを)呼んでくれた。アダムが呼んだんだろうなという層だったり、いろんな層の人に来てもらった」と、普段のトーナメントとは異なる客層に気付いていた。

トーナメント運営スタッフも「『アダム・スコットはどこにいますか?』って、たくさん聞かれましたよ」という。また、小さな子供や家族連れの姿も、他のトーナメントとは比較にならないほど多かった。ゴルフファンのお父さんがそうではない家族3人を連れてきた−−という状況を考えてみれば分かる。4万5257人には相当数の“ゴルフファンとは言い切れない人たち”が含まれていたということだ。

なぜその人たちが今回動いたのか? を考えることが、日本のゴルフ界にとっては重要だろう。その人たちの何割かが、「自分が子供のときに(尾崎将司、青木功、中嶋常幸らを見て)感じたように、子供たちに夢を与えるプレーがしたい。1人でもゴルフをやりたいと思ってくれればいい」と語った松山の思いを受け止めたにちがいないからだ。

目の肥えた現代人が求めているものは“本物”なのだと思う。松山は「上位で戦った選手は国内ツアーでやっているし、力的には変わらないと思う。ただ(自分は)海外で活躍しているからこそ、これだけ応援されるんだと思う」と振り返った。世界レベルのパフォーマンスや、世界最高峰に挑もうとする姿勢。そういった選手が日本でプレーするとなれば、「どのぐらいすごいんだろう?」「いま見ておいた方がいいんじゃないか?」と、ゴルフと切り離してもなお成立する知的好奇心を刺激でき、多くの人にリーチができる。

石川も「日本にもゴルフファンはまだ本当にたくさんいる。観客数が少ないとか、視聴率が低いというのは選手の責任だと思う。海外で活躍して日本に戻ってくるのが理想じゃないかなと思った」と口を揃えた。

今週は、マレーシアで米ツアーの「CIMBクラシック」が開催される。松山は新シーズン初戦、石川はケガからの約8カ月ぶりとなる米ツアー復帰戦だ。戦う場所は日本国内ではないけれど、その一打一打は、日本のゴルフ界の未来を切り開く大きな財産となっていくのだと思う。(埼玉県入間市/今岡涼太)