9月17日から始まった、茨城県北地域6市町(日立市、高萩市、北茨城市、常陸太田市、常陸大宮市、大子町)を舞台にするアートの祭典「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」。

ギズモードでは馴染みの深い落合陽一さんやチームラボなど、第一線で活躍する国内外のアーティストによる、約100点の作品が北茨城の広大な土地に展示されます。

芸術祭と行っても一カ所に作品が集まっているのではなく、本当に茨城県北全域の各所に展示作品がばらけているので、ドライブしながら観光名所に立ち寄りながら、美味しいものを食べながら、アートを巡る旅を楽しむことができます。翻せば、絶対に1日では回りきれないので、見たい作品をある程度予習して、効率よく回るためのルート設計が必要です。

今回は、東京から日帰りで行ける、デジタルアートも観光名所も食も楽しみたい人のための欲張りコース。日立駅からレンタカーで五浦海岸へと北上し、チームラボが手がけたデジタルアートを楽しみ、六角堂を見て穂積家住宅でランチの常陸牛に舌鼓。高戸海岸に出現した巨大なアートと海の景色を堪能した後は袋田の滝まで車を飛ばし、ジョン・ヘリョンの作品と圧巻の滝の風景で締めくくりました。

日立駅


東京・上野方面から特急ひたちで1時間40-50分ほどで日立駅に到着(もちろん東京から高速で車で行くのも良いのですが、時間効率を考え、日立までは特急電車で行き、そこからレンタカーを借りました)。

日立市出身の建築家、妹島和世がデザインした日立駅の海に浮かんでいるかのような透明な駅舎は、「世界の最も美しい駅舎」のひとつと言われます。


ダニエル・ビュレン「回廊の中で:この場所のための4つの虹 ー KENPOKU ART 2016のために」


駅構内は、フランスのビジュアルアーティスト、ダニエル・ビュレンによって虹色の空間に大変身。虹色の光が駅構内に差し込み、とっても幻想的で未来的。そして写真映えもします。



まずは駅直結のシーバーズカフェのガラス張りのオーシャンフロントの空間で、海の水平線を眺めながらコーヒーで優雅な朝を。



カフェのすぐ外には、テクノロジーと芸術をテーマに活動する村上史明による望遠鏡型の作品「風景幻灯機」が展示されています。望遠鏡を覗くと日立の美しい海の姿に見慣れぬ光景が楽しめます。


日立シビックセンター



日立駅から徒歩2分のところにある日立シビックセンターでは、まとまった作品を鑑賞することができます。

米谷健+ジュリアによるウランガラス製のシャンデリア「クリスタルパレス:万原子力発電国産業製作品大博覧会」、和田永による「日立電輪塔」、テア・マキパーの植物や本物の小動物や小鳥を展示したバスの作品「ノアのバス」などなど。

シビックセンターでガイドブックや作品鑑賞パスポートが入手できます。ただ、日帰りで回るのなら2,500円(前売り2,000円)のパスポートは必要なさそう。というのも、無料で見ることができる展示が多いから。一部の展示会場では300円〜1,000円の入場料がかかりますが、その金額を回収できるほど1日では回りきれません。数日に渡ってじっくりと作品鑑賞する予定ならば、パスポートは入手しておくと良さそうですけどね。


茨城県天心記念五浦美術館



日立駅でレンタカーを借り、右手に海を眺めながら五浦海岸まで一気にドライブ、目指すは茨城県天心記念五浦美術館。

県北”海側”の目玉展示のひとつである、チームラボの「小さき無限に咲く花の、かそけき今を思うなりけり」は、ギズモード読者なら外せない展示ですね。



会場に入ると、真っ暗な空間の中デジタルのお花の光がにうっすら浮かんでいます。そして漂うお抹茶の香り。

本物のあったかいお抹茶が淹れられて、そこに可憐なデジタルのお花が浮かんでいます。温かいお抹茶の器を手に取り、光るお花の可憐さとお茶の香りで癒やされました。



そしてチームラボのデジタルアート4作品はどれも息をのむ繊細さと美しさ。個人的には、「増殖する生命 II」が気に入りました。

茨城県北芸術祭 チームラボの、小さき無限に咲く花の、かそけき今を思うなりけりの展示。とても美しいデジタルアート #kenpoku #kenpokuart #kenpokuart2016 #teamlab

mayumineさん(@mayumine)が投稿した動画 - 2016 9月 18 8:21午後 PDT


そして広い部屋の壁一面に投影されたダイナミックなデジタルアート「世界はこんなにもやさしく、うつくしい」の空間は圧巻。鑑賞者の影が文字に触れると、その文字が持つ世界が表れ、世界を創っていきます。


六角堂



茨城県北の観光名所である、太平洋の岩盤の上に岡倉天心が設計し建てた赤い六角形の堂、「六角堂」。五浦海岸まで来たならば、ぜひ立ち寄っていきましょう。

松林を背後に太平洋の白波と、鮮やかな朱塗りの六角形の建物の風景は一見の価値あり!です。六角堂の中には須田悦弘の作品「雑草」が隠れていて、海と松林にマッチする雄大なジャン・ワンの作品「Artificial Rock No.109」も楽しめます。


穂積家住宅



茨城県指定有形文化財にも指定される「穂積家住宅」には、華道×3Dプリンター(=日本の伝統×最新テクノロジー)を掛け合わせた、華道家の上野雄次のインスタレーション作品「天を仰ぎ 地に立つ 者として」が楽しめます。

真っ暗で静かな展示空間のベンチに座って、山のように積まれた土の上に佇む白く輝くお花を見つめますが、3Dプリントされた花であるというのは、きっと言われないと気づきません。

ちなみに写真はiPhone 7plusで撮影。α7(ISO12800まで出せるのに)手持ちだとブレちゃってうまく撮影できなかったんですが、iPhone 7plusのカメラの実力に感嘆しました。



他にも、伊藤公象によるブルーパールの陶磁器のアート「pearl blueの襞 ー空へ・ソラからー」、サンドリーヌ・ルケデビー・ハンによる作品群が展示されています。



またここにたどり着く頃にはちょうどお昼時。穂積家住宅で、秋の期間だけ限定オープンする「萩の茶屋」で、常陸牛を使ったステーキやハンバーグなど、地元の食材を活かした美味しいランチが楽しめます。ハンバーグは240gでしっかりボリュームがあるのに、さっぱり食べやすく美味しく、お野菜も美味しかった!


高戸海岸



ホワイトキューブから脱して、海岸そのものがアートの一部に。高戸海岸の前浜には、イリヤ&エミリア・カバコフの「落ちてきた空」や、ニティパク・サムセン「テトラパッド」など、自然と融合した壮大なアート作品が展示されています。

「落ちてきた空」は、大きい絵を斜めに置いているだけといえばそうなんだけど、海岸と空の絵が妙にマッチしています。青いキャンバスに雲っぽい絵が描かれている(だけの)この作品、地元の小学生が描いた絵とモダンアートの違いはなんなんだ…いや、考えるな、感じるんだ、美しい海岸の風景含めて、絵の置き方も含めてアートなのだ!と悶々としていたのも、ひとつのアート鑑賞体験なのだと自分を納得させていたのはここだけの話です。


袋田の滝



海側から山側へ車を走らせ、茨城県北から山側への大移動。近いようで遠く、2時間弱の移動時間がかかります。

せっかく茨城県北に来たのなら、日本三大瀑布の袋田の滝を見ておきたい…山側には他にも見てみたい作品がたくさんあるのですが、最後の行き先はここを選びました。



滝に続くトンネルの中にインストールされたジョン・へリョンの作品「連鎖的可能性―袋田の滝」は、曲線的なアクリルユニットが光を放ち、それはまるで異次元に続くトンネルのようです。トンネルという無機質な空間にくねくねいろんな色に光る川が頭上に加わって不思議でダイナミックな空間の中を歩いて、滝のある場所まで歩いて行きます。

袋田の滝 #kenpoku #kenpokuart #kenpokuart2016

mayumineさん(@mayumine)が投稿した動画 - 2016 9月 24 10:26午後 PDT


そして、やっぱり滝は圧巻!

大自然に勝るアートは無いのだななんて思ったり思わなかったり(笑)。

袋田の滝周辺は一大観光地でもあるので、食事処やお土産屋さんもたくさんあって、観光としても十分に楽しめますよ。でも18時以降はほとんどのお店が閉まっていました。

そして、日立駅に戻ったのが19:00頃。レンタカーを返して、20時の特急ひたちで東京へ戻りました。海、山、滝、常陸牛、海を見ながらのドライブ、そしてもちろんアートも、一気に楽しめて大満足な旅でした。



展示時間の9:00(場合によっては10:00)から17:00の間にどれだけの展示を見て回れるか、予習して綿密なコース設計が必要だと感じましたが、芸術祭期間中、会場を巡るシャトルバスも無料で発着しているので、公共交通機関だけでも十分に楽しめます。でもあれもこれも見たいものを見たいように見たい!という方は車は必須ですね。

KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭は、11月20日まで。 この秋は、アートを楽しみながら茨城県北を巡る旅に出かけてみませんか?


source: KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭

(mayumine)