完治しにくいがんが、手頃なかぜ薬で治るかも。

がんの治療って、それ用に保険が必要になるくらいお金がかかるみたいです。でも北海道大学の研究で、安価なかぜ薬が難しいがん治療にも役立つらしいことがわかってきました。

北海道大学大学院医学研究科の田中伸哉教授・篠原信雄教授の研究チームは、ヒトのぼうこうがん細胞をマウスのぼうこうに移植して実験を行いました。移植から1カ月半ほど後に分析すると、がんが肺などの臓器に転移していて、転移したがん細胞ではアルドケト還元酵素という物質が多くなっていることが確認されました。実験の結果、このアルドケト還元酵素が、ぼうこうがんの細胞の動きや抗がん剤への抵抗力を強くしていることがわかったんです。

そこで研究チームは、アルドケト還元酵素の働きを邪魔するフルフェナム酸という成分をがん細胞に投与する実験を行いました。するとがん細胞の動きが止まり、抗がん剤の働きも回復できることが確認されたんです。フルフェナム酸は、安価なかぜ薬にも含まれる成分です。この研究内容は10月4日、学術誌「Scientific Reports」で公表されました。

北海道大学のプレスリリースによれば、日本では毎年2万人がぼうこうがんにかかっています。ぼうこうの壁の浅い部分にできるタイプの場合、治療で経過は良好となりますが、深くまでがんが到達している場合では、他の臓器に転移しやすく、また抗がん剤にも耐性ができてしまうため、完治しにくくなっています。でも今回の発見によって、従来の抗がん剤にかぜ薬を併用することで深いタイプのぼうこうがんでも完治の可能性が高まることがわかりました。

手頃な既存のかぜ薬を治療に加えるだけでがん治療の効果が高まるなんて、素晴らしいですね。ただ、フルフェナム酸が含まれるかぜ薬はそんなに多くないみたいだし、そもそもこの研究も「市販のかぜ薬を飲めばがんが治る」みたいな守備範囲の広い話じゃないです。なので、がんかも?と思ったときはちゃんとお医者さんにかかってくださいね。


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source: 北海道大学, Drugs.com

(福田ミホ)