アントニオ・コンテ率いるチェルシーは、エミレーツ・スタジアムに乗り込んでアーセナル相手に0−3の完敗を喫した。さらにこの日の敗北には、初めてアーセナルに前半のみで3失点したという不名誉な記録がおまけについている。

チェルシーは現時点で首位のマンチェスター・シティに8ポイント離された8位と中位で足踏み状態にある。しかし、順位や勝ち点よりもチェルシーファンの不安をあおるのはピッチ上での不甲斐ないパフォーマンスだ。今回は先のアーセナル戦からチェルシーが抱える問題のいくつかを取り上げ、このままではオーナーであるロマン・アブラモビッチが掲げるリーグのトップ4フィニッシュも難しいと言わざるを得ない現状を分析する。


■アーセナル戦で露呈した守備の機能不全

開幕からすでに6試合を消化しているため、休み明けのコンディションや連係の調整不足はすでに言い訳にならない。チェルシーの連携は相手のプレッシャーで容易に瓦解し、ピッチ中央を支配するには遠く及ばない。アーセナル戦では最初の枠内シュートを打てたのが83分だった。いかに試合を通して相手に押し込まれていたのかが分かる。

アーセナルの怒涛の攻撃に対処できないDF陣の中でも特にギャリー・ケーヒルのパフォーマンスは目立って悪かった。いつも通りの悪い時のケーヒルと言えばそれで終わりだが、先制点につながる致命的なパスミスでチームを窮地に立たせ、その後も精細を欠き、経験豊富なはずの平均年齢30歳のディフェンスラインで最も自信を感じさせないプレーに終始した。

中盤ではアーセナルの狡猾な走り込みに対応ができず、今シーズン好調なヌゴロ・カンテも求められる仕事が多すぎたのか空回りして機能しなかった。さらにマティッチも1対1の勝率がわずか37.5%と守備面で足を引っ張り、極めつけは元アーセナルのセスク・ファブリガスだった。彼は少なくとも守備に関して、ピッチに存在しないに等しかった。

今シーズンの公式戦でクリーンシートはわずか1試合のみ。昨シーズン、53失点を喫した悪い流れを断ち切れていない。トップ4への返り咲き、さらにその上を目指すには大きなテコ入れが必要不可欠となる。


■巻き返しの可能性は...

アーセナル戦後にチェルシーの中で唯一その名を傷付けずにピッチを後にしたのはディエゴ・コスタ一人だろう。このスペイン人ストライカーは要所要所でボールを競って戦い、ショートパスがつながらないチームにあって飛んでくるロングボールを死に物狂いで追いかけていた。

一方、EFLカップのレスター戦で爆発した攻撃の再現を期待され今シーズン初スタメンで送り出されたセスクは、中盤で2本以上のパスをつなげるのに苦労し、結局何も貢献できないまま54分に交代を命じられた。

活路を見出すべくコンテは後半からユベントスを率いていた時代の代名詞だった3バックへ布陣を変えたが、この試合では大きな違いを作ることはできなかった。ただし、今後3バックの導入が進むのかどうかは注目すべき点と言えるだろう。

当のコンテとしては、上層部に獲得を熱望していたラジャ・ナインゴランやカリドゥ・クリバリを今夏逃したことを悔やんでいるに違いない。彼らがいればこの活力のないMF陣に大きな違いを生み出せたことは想像に難しくないのだから。

コンテは以前、試合に負けた後は中々眠れないと明かしていたが、このアーセナル戦での敗北は彼に長い不眠症を与えるかもしれない。少なくとも無失点で試合を終えられる日が来るまでは……。

文=Nizaar Kinsella