夏のインテルサポーターとの「いざこざ」を乗り越え、好条件の契約更新を勝ち取ったインテルの主将マウロ・イカルディには平穏が訪れたようにみえていた。しかし、イカルディの自伝に、ウルトラスに対する非常に厳しい表現が含まれていたため、16日のカリアリ戦の前日には両者の間で緊張感が一気に高まることとなった。

イカルディは自伝でこう話している。「サポーターが大声で叫びだし、観客席の下まで来るよう呼んでいた。僕は勇気を出して(フレディ・)グアリンと一緒に近づいていくと、あらゆる暴言やら叫び声が飛び交った。その時ネット裏から子供の声が聞こえた。自分の息子と同じくらいの年齢の子が僕のユニフォームを欲しがっていた。ユニフォームを脱いでその子にプレゼントするつもりで投げると、その子は大喜びしてくれたので僕も嬉しかった」

イカルディは続ける。「だけど残念なことに、僕を侮辱しようとしたウルトラスのリーダーがその子に飛びついて、ユニフォームを奪い取り、僕に投げ返してきた。その瞬間を見ていなかったが、見ていればそんな酷い事をする奴にはすぐに殴りかかっただろう。それで僕もウルトラスを罵ったんだ。この野郎、子供相手に偉ぶって、みんなから見られてるぞ!自分は強いとでも思ってるのか?と言って、顔めがけてユニフォームを投げつけた。すると、とんでもない騒ぎになった。

ロッカールームではまるで英雄のように称えられた。フロント陣はサポーターが僕に仕返しをしようと待ち伏せをするんじゃないかと心配していた。でも僕の中で迷いはなかった。僕は1人1人と向き合うつもりだった。南米でも屈指と言えるほど犯罪や殺人事件が非常に多い地域で僕が育った事をみんな知らないのかな。どのくらい?50、100、200件?とにかく僕のメッセージを伝えてほしい。アルゼンチンから犯罪者を100人連れて来ようかと。命の保証もないとね」

■イカルディは「ウルトラスも大切な仲間」と弁明するも…

これについてイカルディはこう弁明している。「大げさな表現だったかもしれないけど、僕は脅しには屈しないという事をサポーターに伝えたかったんだ。一週間後、ウルトラスのリーダーがまた僕の所へやって来て謝罪を要求した。僕から謝罪する必要はないし、それで納得してもらえなくてもいいと答えた。現在は僕とウルトラスサポーターはお互いにリスペクトし、程よい関係だ。チームが活躍するためにはウルトラスも大切な仲間なんだ」

だが実際には、イカルディの発言はウルトラスの反発を買うことになった。クルヴァ・ノルドのウルトラスリーダー、フランコ・カラヴィータはイカルディに対し非常に厳しい口調でこう反論している。「もうインテルの主将とは認めない。子供の話もそうだが、ウソだらけだ。そもそも誰もイカルディを脅してないし、僕らを攻撃する根拠はない」

そしてこう結んでいる。「おそらく、僕らサポーターをダシにして本の宣伝をしたかったのだろう。インテルのファンのみんなはこの本を買わないように。結果が出ていなくても、そういう時こそリスペクトを忘れてはいけないはず」

これまで出場7試合で6得点とフランク・デ・ブール率いるインテルを牽引してきたイカルディだが複雑な心境だろう。ワンダ・ナラとの交際で多くのサポーターを敵に回した過去もあるイカルディだが、心休まる時はまだ来ないようだ。

文=Goalイタリア編集部