因縁の相手であるジョゼップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティにホームで敗れてから、フェイエノールト戦、ワトフォード戦でも苦杯をなめ、公式戦3連敗となったモウ・ユナイテッド。開幕3連勝のスタートダッシュは今や遠い過去になっている。

デイヴィッド・モイーズやルイス・ファン・ハールといった前任者たちの過去3シーズンにわたる失敗や、ジョゼ・モウリーニョの元で低空飛行に終始した昨シーズンのチェルシーが頭をよぎり、“スペシャル・ワン政権の失敗”を予測する者が増えてきた。

果たして、ユナイテッドは再び立ち上がり、成功への道を歩むことができるのだろうか?

■最悪だったワトフォード戦、モウリーニョの審判団への善戦も功を奏せず

マイケル・オリバーが挙げた先制点に先駆けたミゲル・ブリトスのアントニー・マルシャルへのタックルがファールだったのか否かを議論する以前に、90分間を通してユナイテッドはお世辞にもチームとして機能しているとは言えなかった。

ワルテル・マッツァーリ監督率いるワトフォードが状況に応じて柔軟に布陣を変え、必要なアクションを起こしていたのに対し、頭数だけ揃ったユナイテッドの高給取りたちは何のインパクトも残すことができなかった。

例えばフアン・スニガに許した逆転ゴールのシーンを見てみよう。ユナイテッドは途中出場したスニガを誰がマークするのか明確にせず、なんとなくプレーを始めていた。その矢先に逆転ゴールを食らい、チームの意思疎通がうまく取れていないことを露呈した。

それに比べると長年タッグと組んでいるモウリーニョとルイ・ファリアのチームワークは大したもので、試合を通じて第4審判を務めたスチュアート・アトウェルにプレスをかけ続けていた。もっとも、試合を好転させるほど効果的なものではなかったのだが。

同日、別会場でボーンマスを退けたばかりのシティのグアルディオラに、「ボーンマスが今シーズン戦った相手の中でベストチームだった」とコメントされ、暗に批判されたことを含め、ユナイテッドにとって記憶から消し去りたい1日になったことは間違いない。

■お荷物になっているウェイン・ルーニー

8900万ポンド(約120億円)で獲得したポール・ポグバの唯一の見せどころが、前半に放った惜しいシュート1本だけなのもいただけないが、さらに深刻なのは新指揮官からの信頼を裏切り続けて醜いプレーに終始しているウェイン・ルーニーだ。

度々ボールをロストしては試合から消え、見かねたモウリーニョからは何度もプレスに参加するように激しく叱咤された。さらに同点弾に繋がったズラタン・イブラヒモビッチのように素早く前線へボールを運ぶでもなく、マーカス・ラッシュフォードのように裏へ抜け出すわけでもなく、効果的な動きも皆無だった。

クラブのレジェンドに対して敬意を払って可能の限り柔らかい表現を用いるとしても、「ベンチに落とすべき」という声が日に日に強まっていることは目の背けようのない現実である。

■唯一の好材料はラッシュフォード

残念なパフォーマンスに終始しているここ数戦のユナイテッドから希望の光を探し出すとすれば、ラッシュフォードだろう。

昨シーズン、すい星のように現れたワンダーボーイは今シーズン開幕当初、ベンチが定位置となっていた。

しかし、ハル・シティ戦に途中出場してゴールを決めて期待に応えると、スタメン出場したワトフォード戦では同点弾を決めて見せた。

見慣れた光景になりつつある不甲斐ないユナイテッドの中で唯一の光となり、レッドデビルズを窮地から救い出す気配を見せている。

前線でのイブラヒモビッチとの相性も悪くないだけに、彼がこれからどれだけ輝けるかが今シーズンのユナイテッドの(少なくとも序盤戦の)生命線になってくる、といっても決して過言ではないだろう。

文=Peter Staunton