「後悔はまったくしていない」

オーストラリア代表とのアウェーゲームを1-1で終えた試合後の監督会見で、日本代表の指揮官ヴァイッド・ハリルホジッチはそう切り出した。とりわけ手応えを感じたようだったのが守備だ。流れの中でピンチを迎える場面がほとんどなく、PKによる1失点で切り抜けた事実をこう振り返る。

「相手は“デュエルの戦い”を挑んできたが、我々はまったく危険に陥らなかった。ほとんどチャンスを作らせなかったとおり、規律とオーガナイズのある守備ができた」

一方で、攻撃に関しては反省を口にしている。たしかに「2、3回の得点チャンスがあった」(ハリルホジッチ)ものの、決定的なチャンスそのものは少なく、攻撃陣の存在感が希薄な時間も短くなかった。その原因は――。指揮官はこう分析する。

「ボールを奪った後に少し慌てたかなと思う。最初のパスがやや確実ではなかった。逆サイドもあまり活かせなかった」

そうした状況を認識しながら、ハリルホジッチはこれといった改善策を講じられなかった。例えば、前半からピリッとしなかった香川真司や、アシストこそ決めたものの最前線で孤立傾向にあった本田圭佑に早々と見切りをつけ、前線を活性化させる交代カードを切る選択肢もあったが、指揮官が動いたのは残り10分ほどになってからだった。

「齋藤(学)や浅野(拓磨)のような経験がない選手では、プレッシャーに負けてしまうのではないかという不安もあった。もっとフレッシュな選手を入れるべきだったかもしれない。ただ、オーストラリアの怖さはCKかFKだったので、そのための新しい選手を入れた。特に最後の丸山(祐市)はFKのための戦術的なチョイスだった」

看過できないのは「プレッシャーに負けてしまうのではないかという不安もあった」という言葉だろう。メルボルンでの一戦に重圧がかかるのは当初から容易に想定できたはずで、その厳しい戦いの舞台に臨むプレーヤーを選出したのは言わずもがな、ハリルホジッチ監督だからだ。

「オーストラリアはアジアチャンピオンなので、リスクはたくさん取れない」

そのアジア王者を相手に、敵地で勝ち点1を確保したのは悪くない。ただ、本当に後悔はないのか。指揮官の言葉の端々には後悔の色が滲み出ていたが…。