今や、プレミアリーグ屈指の情熱的なフットボールを展開するリヴァプール。ユルゲン・クロップ監督が、本拠地アンフィールドで指揮を取り始めて以降、レッズ(リヴァプールの愛称)の攻撃は非常にスリリングなものへと進化を果たした。

前指揮官ブレンダン・ロジャース監督のもとでも、確かにリヴァプールは”超”強力な攻撃陣を擁していた。特に、2013ー2014シーズンは、毎週末のようにルイス・スアレス、ダニエル・スタリッジ、フィリペ・コウチーニョらが大暴れ。だが、プレミアリーグのタイトルを目前にしながら、最終的には2位で終えている。彼らの足を引っ張ったのは脆弱な守備だ。同シーズン、リヴァプールは2位のチームとしては例を見ない50失点という不名誉な記録を残している。

それから2年半、今のリヴァプールは当時の状況によく似ている。スアレスが去ったものの、コウチーニョ、サディオ・マネ、そしてロベルト・フィルミーノらは7試合で計18得点と、その攻撃力は健在だ。だがその一方で、ディフェンス面には不安が残る。

今季、リヴァプールは既に10失点を喫している。だが上位10位チームで、レッズより失点数が多いチームは今のところおらず、さらにリーグ戦でもクリーンシートはまだ無い。

だからと言って悲観的になるべきではない。2013−2014シーズンに守備のリーダーを務めたスロバキア代表DFのマルティン・シュクルテルはもう居ない。シュクルテルは常に全力を尽くしていたが、ミスが多く、危なっかしい選手であったのは事実だ。さらにシュクルテルには確たる相棒もおらず、その後方を守る当時新加入のGKシモン・ミニョレも安定感に欠けていた。

クロップが就任して以降、守備陣には改革が起きている。低調だったデヤン・ロブレンは最終ラインの要として欠かせない存在に成長を遂げた。そのロブレンとタッグを組むのは、夏に加入した長身のジョエル・マティプ。さらに、その後方には若き守護神ロリス・カリウスが控えている。23歳とまだ若いカリウスだが、ブンデスリーガでの実績は充分。今後、長期間レッズの正GKを務めてもおかしくない逸材だ。

マティプに関しては、シャルケから自由移籍でリヴァプールに加入して以来、素晴らしいパフォーマンスを披露している。昨シーズンに出番を得ていたママドゥ・サコは激しい守備をウリにしていたが、マティップはその激しさに加え、高い技術を備えており、守備の中央に安定感をもたらしている。

このリーグ戦5試合で、マティプのタックル勝率は80%を超え、パス成功率は90%に近い。”クリーンシート”という結果には結びついてはいないが、マティプの加入でレッズの守備は間違いなく堅固なものとなるだろう。

さて、リヴァプールは、17日(日本時間18日)に旧敵マンチェスター・ユナイテッドとの大一番を迎える。指揮官の存在は、リヴァプールに自信を植え付け、それは着々と攻守両面に現れ始めている。

ユナイテッドのFWズラタン・イブラヒモビッチは、間もなくこの守備陣と対峙することになる。もし、リヴァプールがクリーンシートをこの試合で達成すれば、それは間違いなくプレミアリーグの他のチームにその守備力を知らしめる狼煙となる。アンフィールドでの”抵抗”に刮目せよ。

文=トム・マストン/Tom Maston