清武弘嗣は、この1カ月で「X調査」の対象になってしまった。UEFAスーパーカップのレアル・マドリー戦以降、定位置を確保していた日本人MFだが、直近4試合ではまったく出場時間を得られていない。

今夏ドイツからやって来た青年は、いくつかのハンディキャップを抱えていた。言葉の問題はさることながら、移籍直後に獲得を要望したウナイ・エメリ監督が退任。ホルヘ・サンパオリ監督が新たに就任したが、清武の不運は続いた。練習開始から3日後に負傷し、プレシーズンの大事な時期に数週間の離脱を余儀なくされたのだ。

一時はピッチ上で成果を挙げ、周囲から寄せられる疑念を吹き飛ばした。スピード、突破力、プレービジョン、守備の局面で払われる犠牲心...。あらゆる数字は彼の活躍を雄弁に物語り、開幕から先発した4試合で1得点1アシストという結果まで残してみせた。

だが、8月末から9月はじめにかけてあったインターナショナルウィークに事態は急展開を見せる。清武が日本代表に合流している間、クラブはマンチェスター・シティからMFサミル・ナスリを獲得した。フランス人MFが清武からレギュラーの座を奪い取ってしまったのだ。

ナスリはセビージャでかつての輝きを取り戻した。とりわけ、チャンピオンズリーグ・グループステージ第2節のリヨン戦でチームを勝利に導いた際のパフォーマンスは鮮烈だった。加えてパブロ・サラビア、ホアキン・コレア、ガンソといった猛者たちがチーム内の競争に勝ち抜き、清武を差し置いてサンパオリ監督の信頼を勝ち取っていった。

この7試合で清武がプレーしたのは、先発出場したリーグ戦のエイバル戦(1−1)のみだ。エイバル戦ではアシストを記録したものの、全体的な出来は悪く、これが冷遇の引き金となった。清武が出場機会を失う中でチームは上昇気流に乗り、バルセロナを抜き去ってリーグ3位まで順位を上げている。

清武のスタメン落ちは、日本代表の招集と無関係ではない。インターナショナルウィークで、代表招集されていない選手たちはサンパオリ監督と濃密な時間を過ごし、今後の過密日程に備えて十分な休養を取った。

一方、清武は数万キロの移動に加え、日本代表の試合に出場することで疲労を蓄積させている。新天地での適応をよそに断行される大洋横断は、選手にとって敷石以外の何物でもない。中断期間の度に、彼はチームに合流するのが最も遅い一人として被害を被るのだ。

そして、言葉は文字通り「壁」となっている。すでにスペイン語の個人授業を始めているが、現時点で十分に理解できるレベルには達していない。英語が話せるため複数のチームメートとコミュニケーションを取ることには事欠かないが、母国語ではない言語の効用もそこまでだ。(ただし、チームメートの冗談に応じ、市内を積極的に観光している彼の性格は多くの面でプラスに作用している。その事実はしっかりと補足しておきたい)

低調な時期を乗り越えてサンパオリ監督の信頼を得るためにはトレーニングでアピールしていかなければならない。一度下された評価を覆すのは簡単ではない。ひょっとすると、入団から今まで、スペインへの適応に費やしてきた倍の労力を必要とするかもしれない。

だが、下を向くことはない。清武弘嗣はセビージャのレギュラーにふさわしい実力を持った選手だ。

スペインのフットボールファンは彼への信頼を失っていない。日本のファンもリーガエスパニョーラとチャンピオンズリーグで躍動する姿を心待ちにしているはずだ。

インターナショナルマッチウィークが明け、各国でリーグ戦が再開される。青から赤と白のユニフォームに着替え、清武のスペインにおける挑戦の日々が、再び始まっていく。

文=Francisco Rico