相手陣内深くまでプレッシャーをかけに行く姿が見られた。スペイン代表に完全に翻弄されて麻痺したイタリア代表を叩き起こそうとしているようだった。これこそがアンドレア・バルザーリ、己の限界を越えられる唯一無二の選手だ。

35歳を迎えたが、スペイン戦のアズーリのメンバーの中で最高ではなくとも、良かった選手の一人。守備陣はジエゴ・コスタらスペインの攻撃に持ちこたえた。だが問題はそこではない。特にバルザーリはまるで駆け出しの若手選手のように自分の持ち場を越えてカバーし制圧していた。

センターバック、サイドバックをこなし、常にアレッサンドロ・フロレンツィのサポートを怠らなかった。フィエーゾレ生まれのベテラン(バルザーリのこと)がチーム全体をコントロールし、頼りない中盤やボールをキープできない攻撃陣のおかげで猛攻に押される守備ブロックに安定をもたらし、チームが息を吹き返す時間を与えた。仕事は常に正確でクリーン、集中力も高い。その上、鬼の形相でドリブルをし攻撃に転じることもあった。

「こういう形でみんなを鼓舞したかった。試合を通して守り続けるのは非常に厳しい。ボールを持った選手が攻撃することでチャンスも生まれやすくなる」スペイン戦後、バルザーリはこう答えた。

数か月前までバルザーリには代表を引退してユヴェントスに集中する考えがあった。「ユーロが終わったら代表を引退するつもりだ。若手にチャンスを与えるべきだ」ユーロフランス大会を終え、ボルドーで涙を流した。それでもヴェントゥーラ監督はロシアワールドカップまで続けるよう熱心に説得し、最後には「Si(はい)」の答えを受けた。

ユヴェントス・スタジアムの観衆はバルザーリの絶妙なタックルに惜しみない拍手を送っていた。これから始まる代表改革のベースにバルザーリを据えた監督も厚い信頼を寄せる。スペイン戦のようなパフォーマンスを見れば監督が正しかったと認めざるを得ない。

(文・Goalイタリア編集部)