「監督になる前からイングランドで生活することに憧れていた」

そう『Goal』の独占インタビューで語ってくれたユルゲン・クロップがマージーサイドに監督として訪れてから1年が経った。ドイツ出身の指揮官は、リヴァプールを着実に成功への軌道に乗せている。

就任1年目にしてキャピタルワンカップ(現EFLカップ)とヨーロッパカップでチームをファイナルまで導いた。今シーズンは7試合を終えて5勝1分け1敗の好成績を残している。開幕戦でアーセナルや撃破すると、好調のスパーズに引き分け、敵地で行われたチェルシー戦では主導権を握り、3ポイントを持ち帰った。

“魅せるフットボール”というブランドを展開し、ブレンダン・ロジャーズ前監督時代にチームを覆っていた暗い雲はすっかり消え去った。何より驚かされるのは、「クラブに栄光をもたらすのが時間の問題」と周囲に思わせてしまっているところだ。今や、かつての栄光を知る老人から、その栄光を“よくできた物語”としてしか伝え聞いていない世代が、揃ってタイトルへの期待を胸にアンフィールドに足を運んでいる。

ただし、もし頂点を極めたいと思うのなら改善しなければならないことがある。それは、ホームゲームの戦い方だ。

2015年10月の就任後、リヴァプールはリーグ戦で17試合を戦っているが、アンフィールドで勝ったのはたったの8回だけだ。残りは2敗7引き分け。最大51ポイントを得られる可能性があったが、実際に手にしたのは31ポイントのみ。実に20ポイントをホームで落としてしまっている。

クロップらしい積極的なプレッシングと攻撃的なフットボールで38得点を記録しているのは悪くない。いや、優秀といっていい数字だ。守備面も18失点と極端に悪いわけではない。しかし、勝ちきれずにポイントを落とす試合が目立っている。

これがかつて“要塞”と呼ばれたアンフィールドのホームチームが復活しきっていない理由の一つでもある。

もっとも、今シーズンは2戦2勝と改善の兆しが見られている。まだ2試合しか消化していない現時点で「課題を克服した」といい切ることはできないが、少なくとも9得点2失点の結果にケチを付けるのはフェアではないだろう。

そもそも1年目の昨シーズンはクロップの哲学を植え付けるための期間だった。種をまかねば花は咲かない。多少の勝ち点を失ったとしても、その先を見据えて優先してやらなければならないことがあったのだ。

種をまく1年だった昨シーズンにしてもアウェーではよく戦っていた。相手がホームの声援に押されて前掛かりになったところを、持ち前の鋭いプレスと速攻で突いて勝ち点を奪ってきた。20試合で10勝、これを上回っているチームはスパーズ(18試合10勝)だけである。

だからこそ、相手に引かれて打開策を見いだせなかったホームゲームでの戦い方が向上していけば、必然的にタイトルが見えてくる。

特に17日のマンチェスター・ユナイテッド戦や25日のEFLカップ・トッテナム戦でどのような戦いを見せるのかが、クロップとリヴァプールの未来を予想する上で、一つの大きな指標となってきそうだ。