前回大会で大敗を喫したアメリカ選抜は崩壊寸前だった。「なぜアメリカは勝てないのか・・」、過去20年でわずかに2勝、2008年以来、勝利から遠ざかっている米国には容赦なく厳しい質問が浴びせられた。主将のトム・ワトソンが同席する記者会見で発したフィル・ミケルソンの言動には驚かされた。

「(2008年に米国が勝った要因は)ポール・エージンガーキャプテンが選手全員の意見に耳を傾けて、自分達にベストのゴルフをさせてくれた。少人数のグループに分けて結束力を高め合って勝つことができた。彼は優れたゲームプランを持っていた。」

まるで主将のワトソンを批判するかのようなミケルソンのコメントは米国内のみならず、世界中で大きな波紋を呼んだ。アメリカチームの歯車を狂わせるほど、マギンリー主将をリーダーに2014年の欧州選抜はチームとして強かった。初日の午前(フォアボール)では米国が2.5ポイントを獲得し、1ポイントリードしたが、それ以降の午後(フォアサム)から二日目、最終日と全てのセッションで欧州が米国をリードし、結果は16.5対11.5。特に交互にボールを打っていくダブルスの「フォアサム」では二日間合計で欧州が15ポイントに対して、米国は9ポイントで大きく水をあけられた。フォアボール以上にチームワークが要求されるフォアサムでの大敗はアメリカチームの弱点を露呈する結果となった。

キャプテンの采配が勝敗の鍵を握ると言われるほど重要なペアリングだが、米国ワトソン主将の采配にはミケルソンら他メンバーも疑問を持つものだった。大会初出場ながら若手らしい勢いのあるプレーで初日午前に完勝したジョーダン・スピースとパトリック・リードのペアを当然午後も起用するかと思いきや、午後は休ませる判断を下した。「初日は全員をプレーさせたかった」という主将の方針だったが、スピースとリードは怒りを露わにしたという。

さらなる火種は2012年大会から気迫あるプレーで相性の良いミケルソンとキーガン・ブラッドリーの二人を二日目に休ませて全くプレーさせなかったのだ。ミケルソンは「考え直して欲しい」とワトソンに直訴したが答えは“NO"。それでも納得いかず、メールで「チャンスを与えてくれ」と訴えたが、その意見も採用されることは無かった。三連覇を許した米国チームの不和が多くのメディアで取り沙汰されたが、それほどワトソンもミケルソンも“アメリカチームの勝利"に魂をかけていた表れでもある。

今年負ければ四連敗・・・、ホーム開催の米国にとってはライダーカップ史上最も負けられない一戦となることは間違いない。チーム再建を託されたのは選手として6回の出場経験を持ち、2012年に続くキャプテン再任となるデービス・ラブⅢだ。“勝利"が至上命題のラブⅢは、副キャプテンに地元出身のトム・レーマンに加え、タイガー・ウッズ、ジム・フューリック、スティーブ・ストリッカーを指名。選手とコーチ陣のパイプ役として盤石の体制が築いた。

「勝つために出来ることは何でもやる」、ラブⅢは選手選抜方法も変更した。これまで3人だったキャプテン推薦を4人に増やし、プレーオフシリーズ第3戦「BMW選手権」終了後に3人、そして最終戦「ツアー選手権」終了後に最後の1人を選出するという思い切った策に出た。

背水の陣となるアメリカチームはタイガーらこれまでの中心メンバーが抜けたことで一新される。若手選手も多くなる中、ミケルソンの存在は大きい。選手として出場することを熱望したミケルソンは、今季トップ10入り6回、全英オープンではステンソンと死闘を演じ、メジャー制覇へあと一歩のところまで迫った。前回大会の雪辱を晴らすべく、ライダーカップに照準を合わせてくるであろう。

アメリカ選抜のカップ奪還なるか、それともヨーロッパの四連覇か。世界中のゴルフファンが熱くなる一戦が9月30日にいよいよ幕を開ける。これはゴルフなのか、それとも・・・。