スーパーチューズデー終わって戦い続く それにしても得票数 コラム「大手町から見る米大統領選」(17回目)

gooニュース2008年2月6日(水)17:55
まず最初に言いたい。米メディアのいわゆる「political pundits(政治アナリストたち)」の事前予想というのは、ほとんどアテにならない。次に言いたいのは、それにしても相変わらず、得票数のこの違い。(gooニュース 加藤祐子)

大統領候補の指名争いの分水嶺「スーパー・チューズデー」。結果はこちらにまとめてみました。

この日に向けて米メディアでは「専門家」たちが、「世論調査でオバマ優勢」「オバマがマサチューセッツ、ニューヨーク、カリフォルニアで勝つかもしれない」「マケインが指名獲得を確実にする」「ハッカビーはいつ撤退するのか」など、あれこれ語ってました。

しかし言うまでもなくこれは全部、実現しなかったわけです。

○民主党の事情

事前の世論調査はともかく、バラク・オバマ上院議員はヒラリー・クリントン上院議員を圧倒しなかったし、マサチューセッツ、ニューヨーク、カリフォルニアではクリントン議員が過半数を獲得。「マサチューセッツといえばケネディ」なわけですが、そのケネディ一族の支持を得ても、オバマ議員はクリントン議員に得票数では及ばず。

マサチューセッツやニュージャージーなどでクリントン議員は、女性票はもちろんのこと、ブルーカラー層の票を確実に獲得していったようだ。「国民皆医療保険の義務化」という、働く国民にとって分かりやすいメッセージを掲げるクリントン議員への信頼感が、票につながった模様だ。

とは言ってもクリントン陣営にしてみれば、このスーパーチューズデーで指名獲得を確実にできなかったのは、残念なことだろう。半年前ぐらいまでの長期戦略では、もうとっくに余裕で本選をにらんでいたはずなのに。

指名獲得につながるのは「いくつの州で勝つか」ではなく、「代議員を何人獲得するか」だというのはこれまでも書いてきたが、11月の本選は「いくつの州で勝つか=選挙人を何人獲得するか」で勝敗が決まる。なのでオバマ議員が今回、南部や中西部など過去2回の大統領選は共和党に奪われた州で強さを見せたのは、本選を占う上で興味深い。

それにしても思う。クリントン議員の支持層は、女性・ブルーカラー労働者・ヒスパニック系。今回明らかになったオバマ議員の支持層は、白人男性・アフリカ系・若者・ホワイトカラー。2人足し合わせれば、とりあえず共和党には投票したくないという有権者はほとんど獲得できるのではないか? どちらが大統領でどちらが副大統領かはともかく、「クリントン&オバマ」あるいは「オバマ&クリントン」という正副大統領候補が「ドリーム・チケット」と呼ばれるのは、それは当然だろう。問題は、どちらかが夏の全国党大会までに、自分のエゴを多少抑えて、ホワイトハウス奪還を最優先するようになるかどうか、ではないか?


○共和党の事情

というかロムニー候補のお財布事情ではないのか? 今後の共和党レースで注目されるのは。底なしの個人資産があるとされる元ヘッジファンドCEOは、すでに何千万ドルも選挙戦につぎこんできたし、その気になれば最後まで戦い続けるだけの資金力がある。でも有能なビジネスマンにとって、それは賭けとしてどうなのか?

ロムニー氏はスーパーチューズデーに向けて「これはマケイン議員と私の、2人だけの決戦だ」「マケイン議員は真の保守ではない。私こそが真の保守候補だ」などと喧伝。しかし結果から言うと、彼が「泡沫」扱いしたハッカビー候補が、超保守の牙城「バイブルベルト」の南部5州を総取り。保守層が支持する「真の保守」は、少なくとも今日の結果からすると、資金力も組織力もほとんどないに等しいハッカビー氏だった。

(さらに、ロムニー氏が資金をガンガンつぎ込んで、テレビCMの枠を買い、遊説し、「絶対に勝つ」と意気込んでいたカリフォルニア州では、マケイン氏が圧勝している)

一方のマケイン氏は、不法移民の権利を認めたり、胚性幹細胞研究を認めたりするため、「保守ぶりが足りない」「保守のふりをしたリベラルだ」などと、共和党支持層の一部からひどく評判の悪い。ラッシュ・リンバウというコチコチ保守のラジオ論客に至っては「マケインに投票するくらいなら、クリントンかオバマに入れる」とラジオで宣言する始末。

けれども穏健保守として今回も幅広い支持を得たマケイン氏と(つまり「小さい政府」主義だが社会的弱者に優しい)、キリスト教宗教観を背景に社会テーマ的(生命倫理とか)にきわめて保守的なハッカビー氏が組めば、これまた共和党的には強力で有効なペアなのではないか? マケイン、ハッカビー両氏はこれまでも、お互いのことを称え合っているし。

「クリントン&オバマ」あるいは「オバマ&クリントン」 対 「マケイン&ハッカビー」

11月の本選がこうなったら(そして私に投票権があったら)、私だったら激しく悩むと思う。どちらに投票するか。


○それにしても得票数


1月3日のアイオワ党員集会からこちら、両党が同じ日に予備選・党員集会を実施するたびに書いてきた気がするが、注目したいのは両党の得票数の違い。

CNNによると(日本時間6日午後4時時点での集計では)、民主党ではクリントン候補が約576万の票を獲得。オバマ候補は約569万票。計約1150万票。

対する共和党は、マケイン候補が約303万票、ロムニー候補が約235万票。ハッカビー候補が160万票。計約700万票。

民主党が2倍近く。

言うまでもないですが、大事なのは11月の本選。そして実のところ本選は、単純に得票数が多ければ勝てるというものでもない(でなければゴア大統領が実現してましたから)。各州で過半数をとって、その州に割り当てられた選挙人を総取りし、そして選挙人の過半数270人を獲得しなくてはならない(だから大票田のニューヨーク、カリフォルニア、テキサスのほか、「swing states」と呼ばれるフロリダ、オハイオ、ミズーリなどが注目されるわけです)。

とは言っても、いくら選挙人の数で勝たなくてはホワイトハウス入りできないといっても、今日みたいな圧倒的な得票数の差が本選であったなら、結果はもう……。

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