バラク・オバマ指名受諾演説・全文(1) コラム「大手町から見る米大統領選」番外
米民主党の大統領候補指名を受けて、バラク・オバマ上院議員は28日夜、コロラド州デンバーで約8万人を前に受諾演説をした。以下、オバマ氏公式サイトに掲載されたその全文を翻訳します。(gooニュース 加藤祐子)
ディーン委員長、親友のディック・ダービン、そしてこの偉大な国の国民のみなさん。大いなる感謝と共に、身の引き締まる思いで、みなさんが私をアメリカ合衆国の大統領候補に指名してくださったことをお受けします。
私と共にこの旅路を歩んでくれた、歴史的な候補のみなさんに感謝したい。中でも特に、いちばん長く旅を共にしてくれた人、働くアメリカ人を守る戦士、そして私やみなさんの娘たちの憧れの人、ヒラリー・ロダム・クリントンに感謝したい。あるいはビル・クリントン大統領に。彼ならではの説得力で変化が必要だとゆうべ力説してくれたクリントン大統領にも感謝したい。さらには、公の奉仕の精神そのものを体現するテッド・ケネディに。そして次の米副大統領となるジョー・バイデンに。みなさんに感謝したい。当代最高の政治家のひとりと、この旅路を最後まで歩けることに、とても感謝している。未だにアムトラックの電車で毎晩帰宅するジョー・バイデンは、各国の指導者とも車掌とも同じように気兼ねなくいられる、そういう人です。
私の最愛の人、次のファーストレディとなるミシェル・オバマと、娘たちマリアとサーシャ。君たちのことが大好きでたまらない。心から愛しているし、誇りに思っているよ。
4年前、私はみなさんの前に立ち、自分の物語を語りました。ケニア出身の青年とカンザス出身の若い女性が知り合い、短い間ではあったけれども共に暮らしたこと。2人とも裕福でも有名でもなかったけれども、アメリカでなら、自分たちの息子は自分たちの夢を追いかけてくれると共に信じていたこと。
その希望が、その約束があるからこそ、この国は昔からほかに類のない、特別なところだったのです。自分の身を捧げて一生懸命働けば、誰もが自分ひとりひとりの夢を追求できるし、同時に大きなアメリカという家族として団結できると。そしてこの国では、次の世代が必ず、自分たちの夢を受け継いでくれると。
だからこそ、私は今夜ここに立っているのです。なぜなら232年もの間、その約束が脅かされようとするたびに、普通の人たちが立ち上がり、学生や兵士や農家や教師、看護師や用務員といった普通の人たちが、約束を守るために勇気をふりしぼってきたからです。
私たちは今そういう決定的な節目にさしかかっています。この国は戦時下にあり、経済は混乱し、アメリカの約束がいま再び損なわれようとしています。
今日この夜、前よりも多くのアメリカ人が職を失い、前よりも多くの人が前よりも少ない賃金のため前よりもたくさん働いています。前よりも多くの人が家を失い、さらにたくさんの人が、自分たちの家の価値があっという間に目減りするのを目の当たりにしている。前よりも多くのみなさんは、車を持っていても運転するだけの金がない。クレジットカードの請求を払えない。学費などとても払えないという状況にある。
この困難な状態は、全部がぜんぶ政府のせいというわけではない。しかしこの困難な状況に政府が反応しないのはワシントン破綻のせいであって、ジョージ・W・ブッシュの失政のせいです。
アメリカよ、過去8年間のこの国の状態が、私たちにふさわしいものであるはずがない。私たちはもっとよい国で暮らす資格があるはずです。
この国はもっといい国のはずです。オハイオ州で一生まじめに働いてきた女性が退職を目前にして、今ここで大病をしたら老後は悲惨なものになってしまうなど、そんなスレスレの状態でいなくてはならないなど、そんな国のままでいいはずがない。
あるいはインディアナ州のある男性の場合。20年も使い慣れてきた機材が梱包され、中国に送られていくのをなすすべもなく見ていた彼は、家族に失業したと伝えなくてはならず、どうしようもなく情けない思いをした。その体験を私たちに語るとき、声をつまらせて言葉を失った。働く人がそんな思いをしなくてはならない、そんな国でいいわけがない。
帰還兵が路上で眠るしかなく、あちこちで家族が貧困に陥るのに何もしない。あるいは大都市がみんなの目の前で水没していくのに、手をこまねいてばかりいる。そんな政府よりも、私たちははるかに思いやりが深い国民のはずです。
この夜わたしはアメリカの国民に言う。民主党員に、共和党員に、無党派層に、この偉大な国のすべての人に。もうたくさんだ! 今この瞬間、この選挙は、アメリカの約束を21世紀にも残すための、大きなチャンスなのです。
なぜなら来週、ジョージ・ブッシュとディック・チェイニーの政権を2期にもわたって送り出した同じ政党が、ミネソタに集まり「3期目もよろしく」と国民に頼み込む予定だからです。
一方で私たちがここに集まったのは、次の4年間が過去8年と同じになるなど耐え難いほど、この国を愛しているから。11月4日には私たちは立ち上がって、「8年で、もうたくさんだ」と言わなくてはなりません。
とはいえ誤解のないよう。共和党の候補、ジョン・マケインは、この国の軍服を身にまとい、勇敢で優れた業績を残した。私たちはそのことを彼に感謝するし、尊敬している。そして来週になれば言葉を尽くして大勢が、いかにジョン・マケインが反逆児かを語るでしょう。かれはこれまでさんざん、党の方針に逆らってきた。だからこそジョン・マケインは変化を実現できるのだと。
しかし彼の経歴は反対のことを示している。ジョン・マケインは90%もの頻度で、ジョージ・ブッシュの政策を支持すると投票してきたのです。マケイン上院議員は「判断力」についてよく話すが、ブッシュ政策の9割が正しいと思ってきた人の判断力はいかがなものか。みなさんがどう思うか分からないが、「変化の可能性は10%」というのは、私には到底受け入れられない。
実際のところ、みなさんの生活を変えてくれるあらゆる政策課題について、医療保険や教育や経済について、マケイン議員はまったくもって「自由な一匹狼」などではなかったのです。政権の下でアメリカ経済は「大いに進歩した」など、そんなことをマケイン議員は言う。経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)はしっかりしていると言う。マケイン議員の主要顧問で、経済政策をまとめた担当者にいたっては、アメリカ国民が抱えている不安感について、「心理的な景気後退」に過ぎないと一蹴したのです。この人物いわく、私たちは「愚痴っぽい国民」になってしまったのだそうです。
「愚痴っぽい国民」? あなたたちは愚痴を言っているだけだと、その同じことをミシガンの自動車工場で工員たちに言ってみたらどうか。自分の仕事に誇りをもつ彼らは、工場が閉鎖されると知ってもなお、自分たちが作るブレーキを必要としている人たちがいると分かっているから、毎日出勤して、前と同じように真面目に働き続けたのです。
「愚痴を言っているだけだ」と、その同じことを軍人の家族に言ってみたらどうか。愛する家族がイラクに3度目、4度目、5度目と出兵していくのを見つめつつ、黙って重荷を背負っている家族に。この人たちは愚痴っぽい国民などではない。みんな一生懸命働き、国や社会に貢献し、文句も言わず歩き続ける人たちだ。私が知っているアメリカ人とは、そういう人たちです。
アメリカ人の日々の暮らしで何が起きているのか、マケイン上院議員が気にもしていないと、そういうことだとは思っていません。ただ、知らないだけなのだと思う。でなければいったいどうしたら、中流とは年収500万ドル未満の人だなどと言えるでしょう。でなければいったいどうやって、大企業や石油会社にばかり何千億ドル分もの減税措置を提案するのに、1億人以上ものアメリカ人の税金は1セントたりとも減らそうとしないなどという態度がとれるでしょう。でなければどうやって、国民の負担を増やすような医療保険を提案したり、国民の大学の学費負担を全く軽減しない教育改革を提案したり、社会保障を民営化してみなさんの年金生活を危険にさらすような真似ができるでしょうか。
ジョン・マケインは国民のことを気にしてないわけではない。ジョン・マケインは国民のことが分かっていないのです。(次へ)
ディーン委員長、親友のディック・ダービン、そしてこの偉大な国の国民のみなさん。大いなる感謝と共に、身の引き締まる思いで、みなさんが私をアメリカ合衆国の大統領候補に指名してくださったことをお受けします。
私と共にこの旅路を歩んでくれた、歴史的な候補のみなさんに感謝したい。中でも特に、いちばん長く旅を共にしてくれた人、働くアメリカ人を守る戦士、そして私やみなさんの娘たちの憧れの人、ヒラリー・ロダム・クリントンに感謝したい。あるいはビル・クリントン大統領に。彼ならではの説得力で変化が必要だとゆうべ力説してくれたクリントン大統領にも感謝したい。さらには、公の奉仕の精神そのものを体現するテッド・ケネディに。そして次の米副大統領となるジョー・バイデンに。みなさんに感謝したい。当代最高の政治家のひとりと、この旅路を最後まで歩けることに、とても感謝している。未だにアムトラックの電車で毎晩帰宅するジョー・バイデンは、各国の指導者とも車掌とも同じように気兼ねなくいられる、そういう人です。
私の最愛の人、次のファーストレディとなるミシェル・オバマと、娘たちマリアとサーシャ。君たちのことが大好きでたまらない。心から愛しているし、誇りに思っているよ。
4年前、私はみなさんの前に立ち、自分の物語を語りました。ケニア出身の青年とカンザス出身の若い女性が知り合い、短い間ではあったけれども共に暮らしたこと。2人とも裕福でも有名でもなかったけれども、アメリカでなら、自分たちの息子は自分たちの夢を追いかけてくれると共に信じていたこと。
その希望が、その約束があるからこそ、この国は昔からほかに類のない、特別なところだったのです。自分の身を捧げて一生懸命働けば、誰もが自分ひとりひとりの夢を追求できるし、同時に大きなアメリカという家族として団結できると。そしてこの国では、次の世代が必ず、自分たちの夢を受け継いでくれると。
だからこそ、私は今夜ここに立っているのです。なぜなら232年もの間、その約束が脅かされようとするたびに、普通の人たちが立ち上がり、学生や兵士や農家や教師、看護師や用務員といった普通の人たちが、約束を守るために勇気をふりしぼってきたからです。
私たちは今そういう決定的な節目にさしかかっています。この国は戦時下にあり、経済は混乱し、アメリカの約束がいま再び損なわれようとしています。
今日この夜、前よりも多くのアメリカ人が職を失い、前よりも多くの人が前よりも少ない賃金のため前よりもたくさん働いています。前よりも多くの人が家を失い、さらにたくさんの人が、自分たちの家の価値があっという間に目減りするのを目の当たりにしている。前よりも多くのみなさんは、車を持っていても運転するだけの金がない。クレジットカードの請求を払えない。学費などとても払えないという状況にある。
この困難な状態は、全部がぜんぶ政府のせいというわけではない。しかしこの困難な状況に政府が反応しないのはワシントン破綻のせいであって、ジョージ・W・ブッシュの失政のせいです。
アメリカよ、過去8年間のこの国の状態が、私たちにふさわしいものであるはずがない。私たちはもっとよい国で暮らす資格があるはずです。
この国はもっといい国のはずです。オハイオ州で一生まじめに働いてきた女性が退職を目前にして、今ここで大病をしたら老後は悲惨なものになってしまうなど、そんなスレスレの状態でいなくてはならないなど、そんな国のままでいいはずがない。
あるいはインディアナ州のある男性の場合。20年も使い慣れてきた機材が梱包され、中国に送られていくのをなすすべもなく見ていた彼は、家族に失業したと伝えなくてはならず、どうしようもなく情けない思いをした。その体験を私たちに語るとき、声をつまらせて言葉を失った。働く人がそんな思いをしなくてはならない、そんな国でいいわけがない。
帰還兵が路上で眠るしかなく、あちこちで家族が貧困に陥るのに何もしない。あるいは大都市がみんなの目の前で水没していくのに、手をこまねいてばかりいる。そんな政府よりも、私たちははるかに思いやりが深い国民のはずです。
この夜わたしはアメリカの国民に言う。民主党員に、共和党員に、無党派層に、この偉大な国のすべての人に。もうたくさんだ! 今この瞬間、この選挙は、アメリカの約束を21世紀にも残すための、大きなチャンスなのです。
なぜなら来週、ジョージ・ブッシュとディック・チェイニーの政権を2期にもわたって送り出した同じ政党が、ミネソタに集まり「3期目もよろしく」と国民に頼み込む予定だからです。
一方で私たちがここに集まったのは、次の4年間が過去8年と同じになるなど耐え難いほど、この国を愛しているから。11月4日には私たちは立ち上がって、「8年で、もうたくさんだ」と言わなくてはなりません。
とはいえ誤解のないよう。共和党の候補、ジョン・マケインは、この国の軍服を身にまとい、勇敢で優れた業績を残した。私たちはそのことを彼に感謝するし、尊敬している。そして来週になれば言葉を尽くして大勢が、いかにジョン・マケインが反逆児かを語るでしょう。かれはこれまでさんざん、党の方針に逆らってきた。だからこそジョン・マケインは変化を実現できるのだと。
しかし彼の経歴は反対のことを示している。ジョン・マケインは90%もの頻度で、ジョージ・ブッシュの政策を支持すると投票してきたのです。マケイン上院議員は「判断力」についてよく話すが、ブッシュ政策の9割が正しいと思ってきた人の判断力はいかがなものか。みなさんがどう思うか分からないが、「変化の可能性は10%」というのは、私には到底受け入れられない。
実際のところ、みなさんの生活を変えてくれるあらゆる政策課題について、医療保険や教育や経済について、マケイン議員はまったくもって「自由な一匹狼」などではなかったのです。政権の下でアメリカ経済は「大いに進歩した」など、そんなことをマケイン議員は言う。経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)はしっかりしていると言う。マケイン議員の主要顧問で、経済政策をまとめた担当者にいたっては、アメリカ国民が抱えている不安感について、「心理的な景気後退」に過ぎないと一蹴したのです。この人物いわく、私たちは「愚痴っぽい国民」になってしまったのだそうです。
「愚痴っぽい国民」? あなたたちは愚痴を言っているだけだと、その同じことをミシガンの自動車工場で工員たちに言ってみたらどうか。自分の仕事に誇りをもつ彼らは、工場が閉鎖されると知ってもなお、自分たちが作るブレーキを必要としている人たちがいると分かっているから、毎日出勤して、前と同じように真面目に働き続けたのです。
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