マケインvsオバマ、最後の討論会 保守とリベラルが真向対決 コラム「大手町から見る米大統領選」番外

gooニュース2008年10月16日(木)11:30

米大統領選の投票日を約3週間後に控えた15日夜(日本時間16日午前)、共和党候補のジョン・マケイン上院議員(72)と民主党候補バラク・オバマ上院議員(47)が、3回目最後の討論会を行った。経済危機への取り組みから始まった討論では、減税と自由市場主義を重視する「小さな政府主義」と、政府支出による支援を拡大して国民経済を活気付けようという「大きな政府」主義との対立という、まさに保守政治家対リベラル政治家の真向対決となった。(gooニュース 加藤祐子)

司会はCBSニュースの著名アンカー、ボブ・シーファー氏。ニューヨーク州のホフストラ大学で開催された今回の形式は、候補2人が司会者と共に半円卓を囲んで、議論しあうというもので、過去2回の討論会に比べて、活発な意見の応酬が見られた。冒頭の質問は、経済対策。

○「働く配管工のジョー」のためとは

複数米メディアの生中継によると、マケイン氏は、現在の危機のきっかけとなったのはサブプライム・ローンだとして、支払い不能となっている住宅ローンを政府が買い上げ、住民が持ち家に住み続けられるという安心感を与える必要があると述べた。「そのために公的資金を入れたら、ではきちんと住宅ローンを払い続けてきた人に不公平ではないかと言う批判があるのは承知している。しかしあなたの隣に家が差し押さえられ、住民が追い出されるのは、決してあなたの利益にならない」と、政府による救済の必要性を強調。その一方でマケイン氏は繰り返し、自分は減税を実施し、オバマ氏は増税ばかりを言っていると繰り返した。

オバマ氏は、アメリカがいま大恐慌以来の重大な危機に見舞われていると指摘し、連邦議会が認めた金融安定化法が対策の第一歩だと述べた。その上で「今の危機の前から、米経済のファンダメンタルズは弱体化していた。われわれは、雇用創出に集中しなくてはならない。そのため、雇用を海外に流出させる企業には課税を強化し、雇用機会を国内に作り出す企業には減税・免税する。また国民の95%に相当する中産世帯に減税措置を実施する」と述べた。オバマ氏はかねてより、年収25万ドル(約2500万円)以上の世帯・事業には増税し、年収20万ドル(約2000万円)未満の世帯には減税すると公約している。

マケイン氏は「ずっと働いてきて初めて小さな会社を買い取って事業主になろうとしている、配管工のジョーが、オバマ氏の法人税増税のせいでアメリカの夢を実現できなくなる。オバマ議員の経済対策の大前提に、階級闘争がある。富を再分配しようというものだ。アメリカが今これほど苦しんでいるときに、配管工のジョーのような中小企業が雇用機会を作ろうとしているときに、いったいなぜ増税などしようというのだ」と批判。「配管工のジョー」とは今月12日、激戦地オハイオで遊説中のオバマ氏に、「あなたの経済政策では私のような者は増税される」と直接質問したジョー・ワーツェルバッカー氏のこと。

オバマ氏はマケイン氏の批判に対して、「配管工のジョーもそうだが、ほとんどの中小企業の事業規模は私の提案する減税策の枠内に入る。今すぐに減税措置を受けられるのだ。マケイン氏はむしろ、大企業への法人税を削減しようとしている」と応酬し、マケイン氏の経済政策はブッシュ大統領のものと同じだと従来の主張を展開。

これに対してマケイン候補は、「オバマ議員、私はブッシュ大統領ではない。ブッシュ大統領を相手に戦いたかったのなら、4年前に出馬するべきだった。私はこの国を違う方向へもっていきたい」ときっぱりと反論した。


○中傷を面と向かって言えるか

経済問題に続いて司会者シーファー氏は、「おふたりはかつて、政策を争う選挙戦を戦うつもりだと言っていたが、最近ではずいぶんと意地悪な、口汚いものになってしまった。それぞれの陣営が相手候補に浴びせているような言葉を、今この場で、互いに向かって言うことができるか?」と質問。

これに対して両候補は、司会の質問に直接答えることなく、(1) 大統領選レースというのは、タフで厳しい戦いだ  (2) しかし私の陣営から相手に対して行き過ぎた発言があれば、私はすぐにこれをたしなめてきた (3)にもかかわらず、相手候補は私への中傷を放置してきた (4) ひどい中傷CMをさかんに流しているのは相手の方だ――という主旨の、ほぼ同じ反論を展開した。

○大きな政府か小さな政府か、連邦か州か

エネルギー自給自足や医療保険、教育改革などに関する議論では、オバマ氏が新エネルギー開発や皆保険実現、効率教育改革、大学教育費への助成提供などの必要性を強調。これに対してマケイン候補は「私たちの根本的な違いは、オバマ氏は何もかも連邦政府にやらせようとしているところだ。私は『配管工のジョー』たちに自助努力の機会を与えようとしている。オバマ氏は何かと『もっと資金をつぎ込む必要がある』と言うが、それよりも無駄を省くほうが大切だ。オバマ氏は大きな政府を作ろうとしているが、今でも政府は大きすぎるのだ」と述べた。

また、女性が人工中絶を選択する権利の是非について、選択権を合憲と認めた最高裁判決が話題に上った際、「連邦政府が決めるべきことではない。州レベルで決めるべきだ」という立場のマケイン氏に対してオバマ氏は、「選択する権利は女性にあるべきだ。憲法には各自のプライバシー権も組み込まれているはずで、それはいちいち州ごとの住民投票にかけるような内容ではない」と述べ、やはりここでも「連邦政府の権限重視」か「州政府の権限重視」という、米国政治の根底を流れ続ける基本的な政治思想の対立がうかがえた。

討論会に先立ち、ギャラップ社が15日に発表した支持率は、オバマ氏50%、マケイン氏43%だった。また、ニューヨーク・タイムズ紙・CBSニュースの15日発表支持率は、オバマ氏53%、マケイン氏36%と、大きく差がついていた。

9月半ばのリーマン・ブラザーズ破綻を端緒とする世界金融不安と、その大きな要因となったサブプライム・ローン危機は、ブッシュ政権の失策によるもので、マケイン氏はブッシュ政策を継続するだけだというオバマ陣営の批判が、支持率に大きく影響しているとみられる。

ギャラップ社調査によると、「アメリカ国民が日常生活で抱える問題を理解している」と回答者が評価する候補は、オバマ氏が73%、マケイン氏が26%と、大きく差がついている。

経済危機が選挙の最大焦点となるなか、オバマ氏は13日、雇用創出を軸にした経済対策を発表。マケイン氏は翌14日、減税を軸にした対策を発表した。

一方でマケイン陣営は10月初め以来、1960年代に反ベトナム戦争運動として政府施設に爆弾をしかけた過激派と、オバマ氏が「つきあっている」として、「真のオバマは何者だ」という批判を展開してきた。

 


 

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