◆第89回センバツ高校野球大会第2日 ▽1回戦 高岡商9―10x盛岡大付=延長10回=(20日・甲子園)

 7年ぶり5度目出場の高岡商(富山)は盛岡大付(岩手)に延長10回、9―10で逆転サヨナラ負けし、初戦敗退となった。初回、2年生4番の筏(いかだ)秀生が、富山県勢のセンバツ史上初本塁打となる2ランを放ち先制。その後、逆転に次ぐ逆転で延長戦に突入し、10回表2死二塁、1番・中村昂央(こうよう、2年)の適時打で勝ち越したが、10回裏に逆転を許した。1968年以来のセンバツ勝利はならなかったものの、「全国制覇」を目標に掲げる高岡商は、聖地で12安打を放った自信を胸に、雪辱の夏へと再び歩み出す。

 つかみかけていた49年ぶりのセンバツ勝利が、土壇場でこぼれ落ちた。1点リードの10回裏無死二、三塁で、190センチ右腕・伏見拓真(3年)の132キロの直球が中前にはじき返されてサヨナラ負け。それでも「一戦必笑」をスローガンに掲げる高岡商ナインの表情は、充実感に満ちていた。筏は「ピンチでも、みんなが笑顔で前に攻める野球ができた」とうなずいた。吉田真監督(34)は「堂々と前を向いていい」とナインをたたえた。

 エースで主将の土合(どあい)伸之輔(3年)が、9回に緊急降板するアクシデントに見舞われた。「9回の初球を投げた時に左手首がつって指も動かなくなった」。気温は12度だったが、軽度の熱中症になった。マウンドを引き継いだ伏見は「土合に勝つ姿を見せてあげたかった。10回は力が入り過ぎてしまった」と悔やんだが、土合は「いいよ。気にすんなよ」と笑顔で盟友の力投をねぎらった。

 敗れはしたが、盛岡大付の“わんこそば打線”にも比肩する強打を見せつけた。初回に飛び出した不動の4番・筏の左翼席への先制2ランは、センバツでの富山県勢第1号となった。高岡商の甲子園弾は、1968年夏の土肥健二(元ロッテ)以来、49年ぶり4本目。公式戦初本塁打がメモリアル弾となった筏は「えっ、本当ですか! 夏も打てるよう頑張りたい」と目を輝かせた。同県勢のセンバツ2桁安打(12安打)も、86年の新湊(2回戦・拓大紅陵戦の10安打)以来、31年ぶりの記録となった。

 昨夏の県大会準々決勝で敗れて甲子園への道が閉ざされ、チームは「夏の借りは夏に返す」を合言葉にしてきた。グラウンドに掲示される週間練習計画の一番下には、今夏の甲子園の決勝日とともに「8月21日『全国制覇』」と記されている。選手が話し合って決めた、揺るぎない大志だ。

 土合は「甲子園で勝つことがどれだけ大変かが身に染みて分かったが、夏に勝てるチームになって帰ってくる自信はある」と決意。筏も「春は『通過点』としてやってきた。勝負は夏」と前を向いた。サヨナラ負けの悔しさを、夏に勝って笑うためのエネルギーに変える。(勝田 成紀)