古くは北前船の寄港地として栄え、水運業や醸造業が発達した村上市塩谷地区が集落成立から300年を迎えたことを受け、住民有志が9日、「塩谷街並300年祭」を開く。ことし8月、江戸時代から昭和初期に建てられた家屋7棟が国登録有形文化財に指定。これを機に、歴史ある町並みを広くPRする考えだ。

 塩谷は村上市を流れる荒川河口の右岸に位置する。村上藩の内陸水運の要所だった古屋敷(現在の村上市松和町付近)の住民が海運業に乗り出そうと1716年ごろ、集団移転したことが集落の起源とされる。北前船の隆盛とともに集落も発展し、廻船(かいせん)問屋や酒、みそ、しょうゆの醸造業が栄えた。明治以降は新潟港や山形県酒田港のほか佐渡、粟島との海運でにぎわった。

 妻入り屋根の家が軒を連ねる町並みを保存、PRしようと2004年、地元住民らは「塩谷活性化推進協議会」を設立。展望台の整備や町屋散策ツアーを定期的に開催し、市内外に集落の歴史と伝統を紹介してきた。各家の窓に「ささら戸」と呼ばれる建具を手作りで取り付けるなど町並み保全活動も積極的に行った。柏櫓(かしやぐら)洋平会長(73)は「活動開始時は住民にも賛否があった。しかし継続していく中で景観の貴重さに気付いてくれて協力者も増えてきた」と振り返る。

 9日は文化財指定を受けた町屋を中心に住宅を公開。住民や地元の児童がガイドを務め、和楽器の演奏や茶席も設ける。協議会はイベントを次の100年に町並みを継承していくスタートと位置付けている。

 柏櫓会長は、今後も季節ごとにイベントを行って対外的にアピールするとともに「子どもから高齢者まで、楽しみながら地元愛を育める企画を実施したい」と抱負を語った。
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