制度を知ってはいたが、縁遠い存在だと思い込んでいた。いきなり、身近になった。成年後見制度である。認知症の母親のために制度を利用しようと、地元の家裁支部を訪ね、分厚い申し立て資料を提出した▼母親の印鑑登録が必要になって市役所に行ったのが、制度に向き合うきっかけだ。窓口で「認知症の方は登録できない」と告げられ、はたと気付いた。「法律行為ができないので、成年後見制度の手続きが必要です」▼在宅介護サービスの手続きなど全て家族が代行していただけに、虚を突かれる思いだった。そこまで頭が回らなかったし、情報もなかった▼成年後見制度は、認知症などで判断力が低下した人に代わり、裁判所が選んだ援助者が本人の財産管理や契約などを支援する。2000年4月に始まり、利用者は15年末現在で約19万1千人。現状を考えればもっと利用されていいはずである▼25年には高齢者の約5人に1人が認知症になるとの推計がある。利用者は今後急増するとみられ、後見人のなり手確保が早晩課題になろう。県内で「市民後見人」を養成する動きが出てきたのは心強い▼司法と行政、福祉、介護、NPOなどのセクターが連携して情報提供の仕組みを作れないものか。(菊)