日立製作所は13日、子会社の日立工機を米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)に売却すると発表した。KKR傘下のHKホールディングス(HD)による株式公開買い付け(TOB)に応じ、日立グループが保有する発行済み株式の約51%(議決権ベース)全てを、配当金を含む総額約750億円で譲渡する。
  HKHDは、日立工機の全株式取得を目指す。買い付け価格は特別配当を併せて1株当たり1450円。買い付け期間は30日から3月22日まで。買い付け終了後、日立工機は上場廃止。日立の連結子会社から外れる。日立は売却で得た資金を社会インフラやIT(情報通信)など中核事業への投資に振り向ける。
 日立工機の前原修身社長は同日、ひたちなか市内の勝田、佐和両工場を訪れ、全従業員向けに、自社株売却に至る経緯などについて説明した。
 日立工機やHKHDなどによると、同社の株式売却は昨年4月ごろから検討が始まった。KKRが同5月、日立工機の1株当たりの評価額などを最終提案し、最終買い付け候補者として選定された。日立側とその他の条件について協議を進めていた。
 日立工機は1948年に設立し、電動工具と遠心分離器などを製造する。同社によると、ひたちなか市の両工場の従業員は3月末現在、計977人。2016年3月期連結決算の売上高は1415億円、純利益は10億円だった。
 KKRは、日立工機の技術開発力に加え、投資先企業の事業や財務の改善を支援する専門チームなどを活用し、海外展開の推進など事業強化に取り組む方針。株式買い付け後、日立工機に社外取締役を派遣する。
 日立製作所は昨年5月に発表した中期経営計画で、売上高に対する営業利益の割合(営業利益率)を、グループ全体で8%超にする目標を掲げていた。日立工機の営業利益率は、08年3月期に12・3%だったが、16年3月期は1・9%に落ち込んでいた。
 東原敏昭社長は、鉄道や重電部門など社会インフラやITなど利益率の高い事業へ資本を集中させる方針を示している。 (大平賢二)
 ■冷静、前向き 工場従業員
 ひたちなか市の勝田、佐和両工場で13日、前原修身社長から株売却の説明を聞いた従業員からは、冷静に受け止める声が相次いだ。
 同市武田の勝田工場から出てきた退勤途中の男性社員(50)は「雇用関係は変わらないと会社側から聞いた。外資系に売却されると言っても心配はしていない」と話した。
 別の男性社員(30)は「仕事の内容は変わらないようだ。日立工機という名前が無くなっても、看板が変わるだけ。あまり気にはしない」と冷静に語った。
 女性社員(56)は「職場の雰囲気に悲壮感はない。むしろ明るい未来が待っているような気がする」と前向きに捉えた。
 同工場に派遣されている女性は「今日も普段通りだった」とした上で、「仮に売却による人員整理があって派遣が打ち切られても、しょうがない」と淡々と話した。 (斉藤明成)