■ある日、あるウサギカフェでの話


ボク 「英語にはウサギを表す単語が2種類ありますよね。”hare”と”rabbit”。これは違う種類なのですか?」

武田さん 「さすが学生!目の付け所が違うわね。そのとおり。"hare"は『ノウサギ』、"rabbit"は『アナウサギ』をさすの。この2匹は見た目は似ているけれど、遺伝的には遠くて、イヌのような交雑種、つまり雑種は生まれないのよ。

ボク 「そんなに違うんですか!」


■ノウサギとアナウサギ


実は一口に「ウサギ」といっても、「ウサギ目」の「 ウサギ科」「ナキウサギ科」に大きく分かれ、「ウサギ科」の中に12種類の属がある。この中に「ノウサギ属」と「アナウサギ属」があり、ヒトと一緒に暮らしているウサギのほとんどが"rabbit"、アナウサギなの。

ノウサギとアナウサギは遺伝的にもかなり遠い。だから雑種は生まれない。生まれたときから違いがあって、ノウサギは毛がふさふさで目が見える。アナウサギは毛がなくて目が見えない。

ウサギとカメのお話の「ウサギ」は"hare"なのよ。英語圏では、きちんと単語が別名くらいに別の生きものとして理解されているということね。

ノウサギは野生動物なので人に慣れにくく、また小さなときに手を掛けても育ちにくいの。わたし自身は、一度ノウサギが一般のお宅で育てられているのを見たことがあるけれど、わたしたちが「ウサギ」ときいて思い浮かべる姿とは違って、耳が長く足が長くて身体も大きかった。いい子だったけどもね。


■アナウサギは群れをつくる

ノウサギは単独行動なんだけれど、アナウサギは群れを作る、人間と同じ社会性のある生き物。生まれはヨーロッパの草原で、今も野生のアナウサギが暮らしているのよ。

オスの縄張りは広く、100メートル四方あり、その中に2〜8匹のメスとその名の通り、穴を掘って暮らしている。

アナウサギたちは、上下関係がしっかりしている動物。野生だと、メスは優劣によって、巣穴の位置やオスとの交尾の順番が決まっている。その習性によって、ペットとして1匹で暮らしているなら飼主さんと、多頭飼いなら飼主さんを含めた他のウサギと上下関係をつくる。

そのため、ウサギが甘えてきたときにさせ放題にしておくと、ウサギがその群れの中で1番になってしまい、「ウサギにさわれない」という状態になることがあるのよ。気をつけてね。

これから、わたしが「ウサギ」と言ったら、「アナウサギ」のことだと思って。


■「寂しいと死んじゃう」の?

よく、「寂しいと死んじゃうのですか?」という質問をいただくのだけれど、ウサギのことを子存知のあなたならお分かりのとおり、ウサギはそんなヤワな動物ではないわよね。

もちろん、「逃げること」に特化して進化した動物だから、体のつくりは、イヌやネコに比べると弱いところはある。でもそれは動物が違うから当たり前だし、そこにヒトが合わせればいい話。

では、どうして「寂しいと死んじゃう」と言われるのかしらね。はっきりとした正解ではないけれど、「寂しいと死んじゃう」と口する方に理由を聞いても、きっと答えられないと思う。

わたしの考えを話すわね。まず、ウサギにも「寂しい」という感覚はある。だから、一緒にいたウサギが亡くなったら、わかるわ。これは、亡くならなくても、「群れ」と認識している飼主さんやご家族の誰からいなくなっても同じく「寂しい」。

野生のウサギの気持ちで考えると…

群れの仲間がいなくなった→なぜ?→次は自分かも!!

と考えているのかも、しれない。子孫を残すことが彼らの中では本当に大事なことだから、そう考えていてもおかしくはない。

これはもう、ウサギに聞いてみるしかないけれど。ウサギは日々を毎日平穏に過ごすことが幸せな生き物だから、群れの仲間がいなくなるということは、自分の身にも何か起こるかも知れないということ。これにより体調を崩すことはあるわ。


■あなたも、ウサギの群れの一員

さっき話したとおり、ウサギは一緒に暮らすあなたを、群れの仲間だと考えるの。その中で上下関係をはっきりさせる。この上下関係があやふやだと、ウサギたちも落ち着かない。

多頭飼いの場合は、不妊手術をすることで、この落ちつかない状態が解消することがある。オスうさぎの縄張りの広さが100メートル四方とお話ししたけれど、その条件をクリアできるご家庭はそうはない。お互いのストレスを考えると、不妊手術をお互いにしてあげることを、お勧めするわ。

多頭飼いで一番上手くいく組み合わせは、不妊手術をしたオスとメスのペア。あとはそのウサギの性格もあるから、絶対ではないのだけれど、相性がいいと寄り添って寝ていたりするわよ。」


■ある日、あるウサギカフェでの続きの話

ボク 「ボクと両親と、この白い毛の子ウサギ1匹だと、寂しいですかね?」

武田さん 「寂しくはないと思う。この子はあなたとご両親を群れだと思うから。もし他の子と一緒にしたいときは、また相談してね。」

ボク 「わかりました。ボクは、子ウサギの名前を”うり”にしようと思います。」

武田さん 「あら、可愛いわね。うりちゃん。」

ボク 「たくさんのお話ありがとうございました。自宅をうりに合った部屋にしてから、迎えに来ます。」

武田さん 「そうね。日にちが決まったら電話してね。」