本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)からいくつかピックアップして、中国を拠点とする筆者が“中国に行ったことのない方にも分かりやすく”をモットーに、中国のインターネットにまつわる政府が絡む堅いニュースから三面ニュースまで、それに中国インターネットのトレンドなどをレポートしていきます。■中国のネットユーザー、7億人超へ

 中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)は8月3日、中国のインターネット利用状況をまとめた「第38次中国互換網発展状況統計報告」を発表。それによると、中国における2016年6月末時点のインターネット利用者は7億958万人となった。この数字は半年で2132万人、年間では4189万人増となる。スマートフォンなどモバイルによるインターネット利用者は6億5637万人、モバイルだけのインターネット利用者は4600万人増の1億7300万人となり、今後、モバイルだけで利用する人が増加することが伺える結果に。

 利用実態については、モバイルによるオンラインショッピング、オンラインペイメント、オンラインバンキング、オンライン旅行予約、フードデリバリーなどのお金が絡む生活サービスが目立って増加。それぞれのサービスで5000万人前後利用者が増加した。

 詳しい内容は、8月5日付記事『中国のネット人口、7億人を超える、スマホだけのユーザーが激増』を参照。■「微信」「微博」「QQ」の利用者数は億単位でなおも増加

 中国のSNSといえば、メッセンジャーの「QQ」や「微信(WeChat)」や、ミニブログの「微博(Weibo)」が定番。微信やQQの騰訊(Tencent)と新浪(Sina)系の微博(企業名)が四半期決算を発表し、その中で最新の利用者数を発表している。

 騰訊によると、各SNSサービスの月間アクティブユーザー数は、微信が前年同期比34%増の8億600万、QQが同7%増の8億9900万、QQのスマートフォン利用者が6%増の6億6700万、QQの最多同時利用アカウント数は6%増の2億4700万。また、中国最大のブログサービスの「QQ空間(QZone)」は同1%減の6億5200万、QQ空間のスマートフォン利用者が4%増の5億9600万となった。このほか、APIの利用が可能で、従業員のグループ分けや統合ができる企業向け微信サービス「微信企業号」の利用者(利用企業数)が2000万を突破した。

 微博(企業名)によると、微博(サービス)の月間アクティブユーザー数は前年同期比33%増の2億8200万で、89%がスマートフォンなどのモバイルからの利用に。また、デイリーアクティブユーザー数は36%増の1億2600万となった。

■悪質なデマの発信者への対処、最多は「拘留」

 ネット世論について研究する人民網の研究部門「人民網輿情監測室」は、デマの傾向についてまとめたレポート「網絡謡言伝播及成年人認知情況研究報告」を発表した。

 それによると、ネットユーザーの6割が普段からネットのデマを見ることがあるとしている。地域別では、沿岸部の都市部において、「北京のAという地域が大雨で冠水」「万里の長城のBの部分で山崩れが発生」「C地域で子供がさらわれて遠方のD地域で発見」「Eの地域で地震発生」「食品Fは有毒物質が入っていて危ない」といった、地域的な社会問題に関するデマが特に多いという結果に。また、少数ではあるが「常任理事国の中国が持つ国連の拒否権について176カ国が反対」といった国レベルのデマ情報もあった。デマの情報源はQQや微信や微博や掲示板サイトであるが、それを転載してしまったテレビや新聞もまたデマの情報源となっているという。

 特に重大なデマを流したネットユーザーに対しての処分は、「拘留」が最も多く、「削除」「罰金」「公開謝罪」が続いた。■オリンピック情報のチェックはスマートフォンが最多

 調査会社のDCCIは、リオデジャネイロオリンピック時のインターネットユーザーの動きについてまとめたレポート「2016年互聯網用戸奥運関注行為研究報告」を発表。それによると、オリンピック情報を取得した端末としては、「スマートフォンなどのモバイル端末」(76.1%)が「テレビ」(61.0%)や「PC」(52.2%)を上回った。オリンピックの情報を求めるアクションとして多かったのは「ニュースに注目」(81.7%)、「テレビやラジオを視聴する」(60.5%)、「ネットのオリンピック応援キャンペーンなどに参加する」(46.6%)。スポーツイベントを知るためのデバイスがテレビやPCから、スマートフォンへと変わったと言える。オリンピックのニュースで多く利用されたアプリは騰訊のニュースアプリ、評判がよかったのはポータルサイト「捜狐」のニュースアプリであった。■ネット3強「BAT」の時代終焉論が出る

 中国のインターネットの3強は長らく「BAT」と呼ばれる検索の「百度(Baidu)」、ECの「阿里巴巴(Alibaba)」、SNSとゲームの「騰訊(Tencent)」の3社が競っていた状況が続いていたが、状況が変わりつつある。騰訊や阿里巴巴に比べて百度が大きく差をつけられたかたちとなった。

 8月にでそろった3社の四半期決算報告で記載された売上高では、騰訊が前年同期比52%増の356億9100万元(53億8200万ドル)、阿里巴巴が同59%増の321億5400万元(48億3800万ドル)、百度が10.2%増の182億6400万元(27億4800万ドル)。また、企業価値においても騰訊と阿里巴巴が2000億元を突破し、百度と4倍もの差をつけた。

 8月に発売された雑誌「財経」では、中国インターネット業界全体で買収・合併のトレンドがあり、業界が再編成する中で、BATの3社自体が以前ほど圧倒的な存在感ではなくなり、その後に続く企業が高成長をしていると分析している。■公衆の充電スタンドがひどいと話題に

 近年、スマートフォン向けの充電スタンドが駅や空港などで設置されているが、これを利用するのはやめたほうがよさそうだ。

 北京のメディアによると、北京最大の鉄道駅「北京西站」で、張さんという女性がバッテリー切れ寸前のスマートフォンを充電しようと充電スタンドを利用したところ、無数の広告が表示されるアプリ3つが勝手にインストールされ、スマートフォンがフリーズして動かなくなったという。張さんは北京の地方裁判所で、設置した北京西站と充電スタンドメーカーの暢充を提訴し、アプリの無断インストールの禁止と3000元の損害賠償、書面での謝罪文を求めた。

 北京の地方裁判所は「状況が再現できないと認められない」、北京西站は「場所を提供しただけで、しかも他に被害の話は聞いていない」、暢充は「アプリは正規版だから合法」と回答した。これを読んだユーザーは「充電するときは開発者モードにしてUSBデバッグを有効にしなければいけないのか、ばからしい」といった意見や、北京西站や暢充を非難するコメントが多数書き込まれた。

■インターネットを活用した遠隔医療、道筋遠く

 中国は全業種でインターネットの活用を目指した「インターネットプラス(互聯網+)」を提案しており、それはフードデリバリーや配車サービスで成功している。他のジャンルでもインターネットを導入しようとしているが、そのうちの1つ、中国語でいう移動医療(遠隔診療、ソーシャルホスピタル)方面では利益が出るビジネスモデルが見つからず、多くの企業が撤退している――と、中国メディアの21世紀経済報道が報じた。

 中国での移動医療が目指すのは、これから急激に少子高齢化となり、また、人件費高騰で医療費が高額になっていく中で、インターネットを活用して遠隔医療を活用していこうというもの。利用者は2015年には1億3800万人となり、2014年の6600万人から倍増となった。市場規模も45億5000元という規模となっている。中国では2011年より大手の「尋医問薬網」が立ち上がり、同じく大手サイトの「就医160網」とともに投資資金が入っているが、ビジネスモデルが築けず、人員削減を行った。また、中小のソーシャルホスピタル企業では倒産する企業も見られるという。■中国のユーティリティアプリが世界で人気

 調査会社のiResearchは、海外進出した中国産アプリについてのレポート「中国出海移動応用発展盤点報告」を発表。これによると、海外向けでもリリースされている中国産アプリは1万超あり、特にユーティリティ/ツール類のアプリとゲーム類のアプリがそれぞれ5000超で、多くリリースされていた。その中でもユーティリティ類は3000万ダウンロードの「Clean Master」を筆頭に、1000万ダウンロード以上のアプリが目立つ一方、ゲームでは1000万ダウンロードを超えたのは「ピアノタイル2」だけで、後は数百万ダウンロードにとどまった。

 海外にリリースするアプリベンダーの就業人数は、「10〜50人」(48.6%)が最も多く、以下、「50〜100人」(23.5%)、「200人以上」(13.3%)、「100〜200人」(9.8%)、「10人以下」(4.8%)と続く。地域では北京が最も多く1676社(26.8%)、以下、上海が1061社(17.0%)、深センが1017社(16.3%)、広州が489社(7.8%)、杭州が311社(5.0%)と続いた。

■Apple、中国での開発強化を宣言

 米Appleのティム・クックCEOが中国を訪問し、中国政府の国務院副総理と接見。中国への投資意欲をアピールした。Appleは中国が提唱するインターネットプラスに積極的に参加し、2016年年末には中国にアジアパシフィック地域で最初の独立運営の研究開発センターを作るという。各社リサーチによると、中国市場では最近iPhoneの販売台数が不振だった。■配車サービス大手「滴滴出行」、Uber中国を買収

 8月1日、中国の配車サービス大手「滴滴出行」がUber中国事業を買収することを発表した。Uberのブランドはそのまま残る。合併で1カ月が経過し、中国メディアは続報を報道。「市場の80%のシェアを獲得したが、この1カ月で滴滴利用価格が上がった」「商務部(商務省)は、商務部からの独占禁止法のチェックを滴滴が無視して怒っている」と報じている。

 滴滴出行は、配車以外でも、専用車、代行運転、試乗などさまざまなサービスを提供しているが、加えて8月22日にはレンタカー事業への進出を発表した。中国のスタートアップではお得な価格でユーザーを囲い込む手法が一般的であり、滴滴出行のレンタカー事業についても利用者の場所まで無料で配車キャンペーンを実施。先行するレンタカーサービス大手の「神州租車」はその動きを察知したのか、2日前の8月20日に同様の無料配車キャンペーンを開始。オンラインでのレンタカーが盛り上がりを見せた。

■中国からの越境ECによる輸出は電子部品が主

 中国電子商務研究中心は、越境ECでの輸出についてまとめた「2015-2016年中国出口跨境電子商務発展報告」を発表。2015年の市場規模は前年比28.6%増の5兆4000億元で、うち中国からの輸出は4兆4900億元(約68兆7900億円)、輸入は9072億元(約13兆9000億円)となった。輸出のうちB2Bが83.2%、小売りが16.8%を占めた。

 製品ジャンル別では、「デジタル製品」(37.7%)が突出して多く、以下、「アパレル」(10.2%)、「アウトドア」(7.5%)、「健康・美容製品」(7.4%)、「宝飾品」(6%)と続いた。輸出先では、多い順に「米国」(16.5%)、「EU」(15.8%)、「ASEAN」(11.4%)、「日本」(6.6%)、「ロシア」(4.2%)、「韓国」(3.5%)、「ブラジル」(2.2%)、「インド」(1.4%)となった。