岩手大農学部の小森貞男教授(果樹園芸学)らの共同研究グループはリンゴの遺伝情報を操作する「ゲノム編集」の技術を確立した。タンパク質とRNA(リボ核酸)の複合体の作用により葉の色素を作り出す遺伝子を変異させ、白化させることに成功した。この技術を応用すれば、自家受粉できないリンゴを受粉可能とするなど品種改良に役立つと期待される。  研究グループは小森教授と徳島大生物資源産業学部の刑部祐里子准教授、農研機構(茨城県つくば市)の果樹茶業研究部門の西谷千佳子主任研究員ら。  発表によると、主に研究で使用されるリンゴ台木品種「JM2」を使い、葉の色素を作り出すPDS(フィトエン不飽和化酵素)遺伝子を操作した。Cas9(キャスナイン)というタンパク質とRNAの複合体を土壌細菌に組み込み、リンゴの葉の内部に感染させ、培養された複合体がDNAを切断。すると、遺伝子が働きを失い、色素のない白化した芽が出た。  今回の研究では、完全に白化した個体の出現率は14%で、小森教授は「ゲノム編集として高い効率」と説明。リンゴでの成功例の報告はないという。  ゲノムとは遺伝子と染色体の合成語で、ゲノム編集とは目的の遺伝子を自在に変える技術。遺伝子を細胞に組み込んで新たな形質を与える従来の遺伝子組み換えと違い、狙いたい部位を操作することができる。