ビタミンB群の一種で核酸の生成や細胞分裂に関わる葉酸は生命維持に欠かせない栄養素の一つであり、妊娠中に積極的に摂りたい栄養素として知られています。しかし、過剰に摂取するとさまざまなリスクがあるようです。今回は妊娠後期に葉酸を過剰摂取した場合に高まるリスクについて解説します。

妊娠と葉酸の関係性

葉酸は核酸の生成や細胞分裂に関わっており、妊娠前から積極的な摂取が推奨されている栄養素です。葉酸摂取することで得られる妊娠に関わる効果は以下の通りです。

(1)胎児への効果
◆神経管閉鎖障害の発症リスクを軽減する
◆発育を助ける
◆流産、死産のリスクを軽減する

(2)母体への効果
◆子宮内膜を厚くする
◆健康的な卵子を育てる
◆卵巣の機能を高める
◆悪性貧血を予防する
◆胎盤の早期剥離を予防する
◆免疫機能、消化管機能を健康的な状態に保つ
◆動脈硬化を予防する

妊娠に関わる葉酸摂取量の目安

厚生労働省では妊娠を希望する段階から葉酸の積極的な摂取を推奨しています。特に積極的な摂取が必要な期間は妊娠前から妊娠4カ月までの期間としていますが、授乳期までは食事からの摂取にプラスしてサプリメントなど補助食品からの摂取が勧められています。妊娠前から授乳期までの葉酸サプリの目安摂取量は、以下の通りです。

【1日当たりの食事以外からの葉酸推奨摂取量】
◆妊娠前〜妊娠4カ月(妊活中〜妊娠初期)…400μg
◆妊娠5〜10カ月(妊娠後期)…240μg
◆授乳期…100μg

妊娠後期の過剰摂取は小児喘息のリスクも

妊娠を計画し始めた時期から授乳期まで長期間に渡って積極的な摂取が推奨されている葉酸ですが、極端な過剰摂取は以下の状態に陥る可能性があるため注意が必要です。

◆葉酸過敏症の発症
葉酸を1,000〜10,000μg以上摂取すると発熱や蕁麻疹、かゆみ、呼吸障害を引き起こす可能性があります。

◆ビタミンB12欠乏症の発見が遅れる
ビタミンB12が不足すると悪性貧血を引き起こす他、下半身の痺れ、運動失調などの神経症状が現れます。しかし、葉酸を過剰摂取すると、これらの症状が現れない場合があります。これによりビタミンB12欠乏症の発見が遅れると、上記の神経症状を悪化させてしまいます。

◆小児喘息のリスクが高まる
オーストラリアで発表された研究により、妊娠後期に合成の葉酸サプリを1日に1000μg以上摂取した場合、胎児の小児喘息のリスクが約25%高まるという結果が出ました。しかしこれは一部の研究機関の報告に過ぎず、この結果に反論している研究者もいるため、一つの可能性として捉える必要があります。

葉酸の1日当たりの摂取量の上限は20代女性の場合は900μg、30代女性の場合は1,000μgです。過剰摂取は母体や胎児の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、上限を超えない範囲内で摂取しましょう。