愛知県豊田市にあるトヨタ自動車堤工場で、車体の組み立てに使用されている溶接機械(2014年12月4日撮影、資料写真)。(c)AFP/KAZUHIRO NOGI〔AFPBB News〕

 ICTの進展により、企業経営がガラス張りになる「透明化社会」。これから真に生き残ることができるのは、社員がいきいきと働き、期待を超える感動を提供することにより顧客から圧倒的な支持を得て成長し続ける「感動企業」だ。そして、その実現には、社員の幸せを企業の目的とする、確固たる経営理念・経営哲学が不可欠だ。

 今回は、感動企業と人工知能(AI:Artificial Intelligence)・ロボットの関係について論考する。

現実味を帯びる「2045年問題」

 筆者は大学院時代に人工知能・ニューロコンピュータの研究に従事していたが、当時、コンピュータは将来、チェスや将棋ではプロに勝てても、囲碁では無理だという見方が常識だった。コンピューティングパワーが幾何級数的に増大している今の時代でも、囲碁はある意味、“聖域”的な存在であり、少なくともあと10年はかかるであろうと言われていた。

 それゆえ、今年3月に米グーグルの研究部門であるGoogle DeepMindが開発した囲碁AIの「アルファ碁(AlphaGo)」が世界トップ棋士に5戦4勝したというニュースはあまりにも衝撃的だった。しかも、過去10年で最強と言われている韓国のプロ棋士、イ・セドル氏に圧勝したのだから。

 直感的な判断という、人間ならではの脳力を、ある側面においてコンピュータが凌駕した、ということであり、このニュースの後、全世界でAIの研究開発がより一層加速している。いわゆる「2045年問題」あるいは「技術的シンギュラリティ」と呼ばれる、AIが人間の脳力を凌駕する日が到来する可能性が、にわかに現実味を帯びてきた。

日本の労働人口の49%がAIやロボットに代替される

 その約3カ月前、野村総合研究所(NRI)は、10〜20年後に日本の労働人口の49%がAIやロボット等で代替可能という調査結果を公表した。

 英オックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授およびカール・ベネディクト・フレイ博士との共同研究により、国内601種類の職業について、それぞれ人工知能やロボット等で代替される確率を試算したものである。

※参照:「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」(NRI)

 AIによる代替が難しい傾向があるとしているのは、医者、教員・教師、アーティスト、デザイナ−、経営コンサルタントなど、抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業、他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業だ。