2016年のノーベル医学生理学賞の受賞が決定した東京工業大学栄誉教授・大隅良典氏の写真が映し出されたスウェーデン・ストックホルムの発表会場ノーベル・フォーラム(2016年10月3日撮影)。(c)AFP/JONATHAN NACKSTRAND〔AFPBB News〕

 秋といえばノーベル賞、ノーベル賞は秋の季語です。10月3日にはノーベル医学・生理学賞の発表があり、2016年の受賞者は大隅良典・東京工業大学栄誉教授に決まりました。「オートファジー(自食)機構の発見」に対してです。おめでとうございます。

 しかし「オートファジー機構の発見」だとか「トポロジカル物質相と相転移の理論的発見」(ノーベル物理学賞)だとか、題目を聞いても何のことやらさっぱり分からないのが理系の研究の特徴です。

 これが一体なにを意味するのか、少々解説を試みましょう。そしてついでに、新聞・雑誌やテレビなど、旧メディアのニュースでは伝えきれない、受賞にまつわる事情をいくつか紹介しましょう。

細胞内にリサイクル処理施設があった!

 私たちヒトの体は約60兆個もの小さな細胞の集合です。細胞は1個1個が生きていて、外部から栄養を取り込み、酸素を消費して二酸化炭素を排出し、必要とあらば分裂して増殖する等々、絶えず生命活動を行なっています。

 細胞内には、泡のような細胞小器官がいくつも漂っていて、それぞれ重要な役割を担っています。

 例えば「ミトコンドリア」という細胞小器官は酸素を使ってATPという物質を生産します。

「核」は、細胞内の全ての活動を制御する、DNAとその転写システムからなる情報処理装置です。

 そして「リソソーム」は、細胞内の不要なタンパク質や細胞小器官を、分解してばらばらのアミノ酸にしてしまう、いわばリサイクル処理施設です。