国内化学メーカー大手が、化学品の基礎原料となるエチレン生産設備の競争力強化を急いでいる。既に実施した設備再編や原油安の影響で、ここ3年ほどは高い稼働率を維持しているが、今後は割安な原料を使った米国産などのエチレンが日本メーカーの輸出先であるアジア市場に大量流入するとみられ、影響が避けられない見通し。各社は環境変化に備えてさまざまな設備の見直しを進め、主力拠点の収益力を高めたい考えだ。

 出光興産と三井化学は、共同運営する千葉県市原市のエチレン製造設備で改修を進める。原料に割安なプロパンガスを使う割合を、今年秋までにおよそ半分に高め、年10億円前後のコスト削減を見込む。昭和電工は大分市にある大分コンビナートで、隣接するJXエネルギー(東京)の製油所や新日鉄住金の製鉄所と連携。余熱などエネルギーの有効活用で「効率向上が期待できる」(市川秀夫昭電会長)という。

 化学業界では近年、エチレンの供給過剰を是正しようと設備休止が相次いだ。その結果、エチレンの市況悪化は回避できたが、今年後半以降は北米でシェールガス由来の化学品工場の稼働が予定されており、安価な製品のアジアへの流入が懸念される。「国内需要が旺盛なうちに基盤固めと工場全体の競争力強化が必要」(化学大手幹部)との考えは、各メーカーとも共通だ。

 三菱化学(東京)と旭化成は、岡山県倉敷市の水島工場で今春に設備を改造し、原料から精製されるエチレンの比率を拡大する。国内での旺盛なエチレン需要を取り込むのが狙いだが、海外品の流入による市況変化もにらみ、生産比率を柔軟に変更できる態勢をつくるという。