キイロショウジョウバエの雌が細菌「スピロプラズマ」に感染すると、産卵する際に雄の卵だけ死滅する仕組みを産業技術総合研究所の深津武馬首席研究員らが解明した。23日までに英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。

 この仕組みを応用すると、将来は農業などに役立つ昆虫を雌だけ、あるいは雄だけ生産する技術を開発できる可能性があるという。

 深津首席研究員らがスピロプラズマに感染した雄の卵の細胞について、DNAを網羅的に解析したところ、性染色体のうちX染色体のDNAが損傷していることを発見。損傷したDNAによる異常を防ぐため、細胞自体を死滅させる遺伝子が働いていることが分かった。

 性染色体は雌がX2本で、雄はXとYの組み合わせ。しかし、雌と雄のX染色体は同じではなく、雄の場合はX染色体の遺伝子の働きを高めるたんぱく質とリボ核酸(RNA)の複合体が結合している。

 感染した雌の卵のX染色体はDNAが損傷しておらず、深津首席研究員らは、スピロプラズマはたんぱく質とRNAの複合体が結合したX染色体だけを認識し、DNAを損傷させていると結論付けた。