大学生ら15人が死亡した長野県軽井沢町のバス転落事故から15日で1年。県警は、大型バスの経験が乏しい運転手が速度を出し過ぎてギアチェンジの操作を誤り、下り坂で減速できなかったことが事故につながったとみている。

 県警は、事故を起こす可能性が予見できたのに乗務させたとの見方を強め、業務上過失致死傷容疑で運行した「イーエスピー」(東京)の社長と当時の運行管理者を早ければ2月にも書類送検する方針。死亡した運転手も自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)容疑で書類送検する。

 事故は2016年1月15日未明に発生。バスは峠の下り坂を制限速度50キロを上回る時速96キロまで加速し崖下に転落、大学生13人と乗員2人が死亡、26人が重軽傷を負った。

 現場の約250メートル手前の監視カメラには、高速でセンターラインを越えて蛇行するバスが撮影され、約100メートル前のガードレールには接触痕があった。ギアはエンジンブレーキが利かないニュートラル状態になっていた。

 ギアは一定の速度を超えて、低速ギアに入れようとすると、エンジンの故障を防ぐためにニュートラルになる仕組みになっている。県警は不慣れな運転手が速度が増した状態で低速ギアに入れようとしてニュートラルになり、減速できずにバスを暴走させたとみている。

 死亡した土屋広運転手=当時(65)=は15年12月に契約社員として採用される際、「大型車の経験は少なく、中型車に乗っていた」などと話していた。

 バスの車種や年式によって、制動システムやギアシフトの操作に特性があるが、イー社が土屋運転手に実施した研修は、タイヤチェーンの着脱と回送時の実車訓練1回だけだったという。土屋運転手は同社に採用される前は主に全長9メートルの中型バスを運転。事故を起こした大型バスは全長12メートルだった。

 大学2年生だった次男の田原寛さん=当時(19)=を亡くし、遺族の会代表を務める大阪府吹田市の会社員田原義則さん(51)は「再発防止対策のためにも、事故原因を早期に究明してほしい。原因が特定されれば次のステップに進める」と話す。

 イー社をめぐっては、事故後の特別監査で、運転手を過労状態で勤務させたり、定期整備を怠ったりする違反が33件確認された。国土交通省は16年2月、道路運送法に基づき同社の貸し切りバスの事業許可を取り消した。