【エルサレム時事】トルコで昨年7月に起きたクーデター未遂事件から15日で半年。エルドアン政権は、事件の黒幕とみている在米イスラム指導者ギュレン師の関係者をはじめ、反政府派の大規模な取り締まりを続けている。一方、エルドアン大統領の権力基盤をより強固なものとするため、大統領の権限強化を柱とする憲法改正に向けた手続きが進められている。

 エルドアン政権はこれまで、昨年7月15日の事件を受けて発令した非常事態宣言を2回延長し、軍人や警官、司法当局者ら4万人以上を逮捕。10万人以上を解雇や停職処分とした。

 エルドアン大統領は昨年末の演説で「法的手段を使って、国家機関やNGO、企業に潜入した(ギュレン師を支持する)メンバーを一掃する」と強調。しかし、大規模摘発により治安維持能力が低下し、過激派組織「イスラム国」(IS)やクルド人勢力によるテロ事件への対応が後手に回っている印象はぬぐえない。

 こうした中、国会では大統領権限を強化するための改憲案の審議が行われている。国会で承認されれば、4月にも改憲の是非を問う国民投票が実施される。

 「新しい時代の始まりになるだろう」。エルドアン大統領は昨年12月、自身が実権を握るイスラム系与党・公正発展党(AKP)が国会に改憲案を提出すると、こう語った。首相を11年間務め、2014年夏に大統領に就任したエルドアン氏はかねて、米国やフランスのように、行政権を大統領に集中させる制度実現を悲願としてきた。

 18項目の改正を目指す法案では、現在は象徴的な存在の大統領を行政の唯一の長と位置付け、首相職を廃止するほか、出身政党の党籍維持や党首との兼任を認める。大統領任期は2期10年となり、19年の施行を受けて29年まで大統領職にとどまることができる算段だ。

 しかし、その道のりは容易ではない。今月11日、国会での審議中、大統領の独裁化を危惧する中道左派野党の共和人民党(CHP)とAKPの議員の間で乱闘が発生。国民投票に掛けられた場合、過半数の支持を得る必要があるが、AKP支持者の中でも反対の声が少なくなく、「トルコ型大統領制」を実現できるかは不透明だ。