世代間の所得格差が過去最大に

9月15日に厚労省から2014年の世帯間所得(公的年金などを除く)格差が過去最大であったことが発表されました。
この世帯間所得格差の指標となるものをジニ係数といいます。
ジニ係数は0〜1で評価され、0であるほど格差がないと言われています。
ジニ係数は非正規雇用者の増加、単身世帯の増加、雇用収入のない高齢世帯の増加によって上昇すると言われています。
つまり今後もジニ係数は上がり続けると予測されています。またジニ係数には目安があります。0.4を超えると暴動が起きるレベルと言われ、0.6を超えると危険な状況だとされています。

今回の発表では日本のジニ係数は0.57でした。
「日本やばいな」と思われるかもしれません。
しかし日本には公的年金などの所得を再分配する機能がありますので、今回の数字が単純にヤバイという結論を導くわけではありません。
公的年金などの所得再分配を加味したジニ係数は0.38となり、ひとまず前回調査結果と同等の数字に落ち着きました。
以上のことから厚労省は「格差は拡大していない」と発表しました。
しかし、本当に格差は拡大していないのでしょうか、また本当に日本は大丈夫なのでしょうか?
そうとは思えない、世代間の所得格差が広がることを楽観視できない理由について解説します。

世帯間の所得格差の広がりを問題視すべき理由

世帯間の所得格差を問題視すべき理由として、一世帯あたりの平均所得の大幅な減少があります。
今回の調査では一世帯あたりの平均所得が392万6000円で、2005年と比較すると73万2000円も減少しているということがわかりました。
さらに現在中流層が消失しつつあり、富裕層と貧困層の二極化が進んでいます。
OECDの調査によると日本はOECD諸国30カ国の中で4番目に高い貧困率を示しています。
2014年の「国民生活基礎調査」からも相対的貧困率が16.1%となり、日本人の6人に1人が貧困層であるという調査結果も出ています。
これでは格差が拡大していないとは言えないでしょう。

次に所得再分配の仕組みも問題です。
日本の社会保障制度は、負担は現役世代中心、受益は高齢者が中心となっています。
少子高齢化で現役世代が減少していくと世代間で、負担と受益に差が生じてしまいます。
現在の分配方法では現役世代の犠牲の上に成り立っているといえます。

世帯間所得格差が拡大することでどういうストーリー待っているのでしょうか。
格差が広がることで低所得者層を中心に消費が控えられます。
つまり経済が縮小されます。
それにより、景気が低迷します。
お金を持っている人たちも物が売れなくなり、衰退してしまいます。
結論として格差が広がることで日本経済自体の衰退の引き金になり得るのです。

所得格差の対策

こうした所得格差を乗り切るためにどうすればいいのでしょう? 
負担を強いられている現役世代特に若年層の負担を緩和させる必要があります。
具体的には教育への公的保障を拡大し、自己負担を減らすことが挙げられます。
また、ワーキングプアに代表される派遣や非雇用と正規雇用との格差を縮小する必要もあります。
さらに現在の税法では税金を逃れたり、必ずしも所得と正比例した負担があるとは言い難い部分もありますので、富裕層への課税を増やすなどの手段を講じる必要があります。

最後に家計レベルでも打てる対策はあります。
毎月入るお金の一部を強制的に貯蓄・投資をするのです。
所得格差が生じている一因に高齢者における所得格差も原因として挙げられています。
言い換えれば高齢者になっても安心した収入を得られるよう準備をしておけば格差解消の足がかりになるのです。
そのためにはできるだけ早い段階で時間を味方にできる長期積立投資を行うことが重要です。
残念ながら今後も過剰な資本主義は所得格差を広げいくでしょう。
そして深刻な「貧困社会」に突入していきます。
そのような未来が予測される中で、自分や家族を守るためにはお金について学ぶことが最大の対策となります。
家計において最大の保険は投資となり得るのです。

 

(内田 茂樹/ファイナンシャルプランナー/診療放射線技師)