日本で‘はしか’が流行のきざし

日本は2015年に世界保健機構(WHO)から‘はしか’の土着株が存在しない「排除状態」であると認定されました。
排除状態とは、国内に由来するはしかウイルスによる感染が3年間確認されなかった場合に認定されるものです。

しかし今回、関西国際空港の職員などに‘はしか’の患者が報告されています。
なぜ、今になって日本国内で‘はしか’が流行しているのでしょうか?
現時点ではアジアの国々などで流行している‘はしか’の株が、日本国内に輸入されてしまった可能性が考えられています。

なぜ‘はしか’が流行しているのか?

また、現在流行している原因の1つに、‘はしか’ワクチン接種の経緯が関係しています。
はしかワクチンは1978年より接種が開始となっていますが、副作用等の問題で十分には接種されておらず、‘はしか’の流行が十分に解消されなかったために2006年からは1歳児と小学就学前の「2回接種」に変更となりました。
さらに2007年頃に10歳から20歳代を中心に麻疹が流行したのを受け、2008年から5年間限定で、中学1年生と高校3年生に追加接種をするという対策が取られました。
この様なワクチン接種の経緯などから20代後半から40代前半の方々は‘はしか’に対する十分な免疫を持っていない可能性が高いと考えられ、今回の流行もこの様な年代に多く起こっているのではないかと思われます。

強い感染力をもつ‘はしか’はマスクなどでは防げない

‘はしか’はウイルスによっておこる感染症で、人から人へ感染します。
感染経路としては空気感染のほか、飛沫や接触感染など様々な経路があります。
感染力はきわめて強く、‘はしか’の免疫がない集団に1人の発症者がいたとすると、12〜14人の人が感染するとされています(インフルエンザでは1〜2人)。
不顕性感染(感染はしても発症しない)はほとんどなく、感染した90%以上の人が発症します。
発症した人が周囲に感染させる期間は、症状が出現する1日前(発疹出現の3〜5日前)から発疹出現後4〜5日目くらいまでで感染力が最も強いのは発疹出現前の時期です。

‘はしか’の予防はワクチン接種以外にあり得ない

‘はしか’は、接触、飛沫、空気 (飛沫核)のいずれの感染経路でも感染します。
ウイルスの直径は100〜250nmであり、飛沫核の状態で空中を浮遊し、それを吸い込むことで感染しますので、マスクなどでの予防は難しくなります。

特に先程述べたように20代後半から40代前半の方は‘はしか’に対する免疫になっていない可能性がありますので機会があれば血液検査で‘はしか’の抗体を調べ、免疫状態でなければ‘はしか’のワクチンを接種することが賢明かも知れません。
‘はしか’に対する最大の防御策は、平時のワクチン接種以外にあり得ない。
この点は最後に強調しておきます。

(佐藤 浩明/消化器内科専門医)