日々変化する情勢と危機管理の重要性

先日、内閣人事局は危機管理の強化を中心とした、国家公務員の増員要請があることを発表しました。
背景には「バングラディッシュテロ事件」や「サイバー攻撃」などが挙げられています。
また、2020年の「東京オリンピック」も視野に入れたものである事は、言うまでもありません。
小さな島国でありながら、国際的なリーダーとして成長してきた現在の日本は、様々な観点から「日常では考えられない脅威」にさらされていると言っても過言ではありません。
そして紛争や事件だけではなく、巨大地震など災害へも目を向ける必要があり、危機管理態勢の強化が急務であることは、避けられない事実です。

回避や防御は危機管理の一部と考えるべき

 
危機管理という言葉を耳にしたとき、皆さんは何を想像するでしょうか? 
国家間の紛争やその脅威、世界中に広まるテロの脅威、東日本大震災のような巨大地震や津波、台風や集中豪雨などではないでしょうか。そして、脅威から身を守る方法を考えることが一般的ではないでしょうか。

しかし、それでは危機管理として不十分であることに気づいてください。
紛争やテロは他人が起こすもの、地震など災害は自然が起こすもので、図りきれず避けられない脅威なのです。
また、防御も同じで、かつての東西冷戦時のように均等を保つ為の武力増強は、取り止めのない行為に発展します。
つまり、回避や防御だけに集中し過ぎると、真の脅威に気づかず、虚栄や慢心などの油断から新たな脅威を造り出すことになります。
そして、万が一にもその脅威が現実になった時、被害は私たちの想像を絶するものになるでしょう。

危機管理に於いて、回避の努力と防御による抑止は不可欠です。
しかし、それ以上に現実なってしまった脅威を、終結させることが重要なのです。
避けられない脅威ならば、発生した被害や損害をどのように受け止め、どのように回復(復旧)させるか?が重要であり、脅威の現実を前提として準備することが、危機管理です。

想定外は「根拠のない自信(過信)」が造る

危機管理で最も重要なのは、被害や損害の試算です。
負傷・死亡する人の数や非難を余儀なくされる人の数、倒半壊・延焼する建物の数などであって、被害額や経済損失などではありません。お金に纏わる事も重要ですが、まずは目の前で起こりうる現実を想定することが重要です。
この場合、「甚大」や「未曾有」など曖昧な表現は役に立ちません。また、過少評価も希望的観測値と言わざるを得ません。

近年、日本では4つの大きな地震を経験しました。
個々の地震に於ける被害の特徴(建物の倒壊、インフラの寸断、津波など)に合わせた対策が目立ち、4度目の熊本地震でもエコノミークラス症候群など「避けられる脅威」の犠牲者を多数出してしまいました。
教訓を活かせない現実のひとつです。
行き届かない情報と関心の薄さの両方が原因と言えるでしょう。
また、高度な情報を得た時の解釈が「二次被害」を造り出す原因と言っても過言ではありません。
そして、この状況は災害だけではなく、原発など重要施設での事故、世界各地で頻発するテロ、国家間の紛争など全ての脅威に当てはまります。
危機管理に「大丈夫」はありません。
原理原則と過去の事実を根拠とし、客観的に想定することが危機管理です。

さて、このような見解は大袈裟でしょうか? 
流行語にもなった「想定外」は、危機管理に於いて「絶対」にあってはならないことです。
そして、想定外は過小評価(過信)が造り出している事を真摯に受け止めなければならないと考えます。

(神田 正範/防犯・防災コンサルタント)