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「演じているときは、いつもよりどこか素直になれるんです。喜怒哀楽の自分の感情を素直にぶつけられる瞬間がある。だから楽しいのかなと思います。ただ、この仕事が天職かというと、まだわかりません。そこまで思えたことはなくて」

そう語るのは、映画『淵に立つ』(10月8日より全国ロードショー)で崩壊しかけた家族のもとで働く、明るい性格の青年を演じた太賀(23)。素直な青年が皮肉な巡り合わせによって、人生に影がさしてくる−−。深田晃司監督の作品に出演するのはこれで2作品目だが、絶対的な信頼を置いている。

「この物語は希望があるわけでもないし、重たい内容だと思うんですが、深田監督の脚本は計算しつくされているので、脚本を信じて演じました。皆さんそうだったと思います。だから現場も静かに燃えている感じがしました。深田監督は、この人は何を撮るんだろう?と、すごく気になる監督さんなので、呼ばれて出ないわけにはいかないというか、次が気になる監督さんなんです」

そして本作は、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞を受賞した。スケジュールの都合上、カンヌへ行くことは諦めていたが、深田監督から現地レポートのメールをもらっているうちに、ある行動に出たという。

「監督からのメールを見ていたら、いても立ってもいられなくなって、カンヌまで行ったんです。飛行機のチケットもめちゃくちゃ探して1人で行ってきました。レッドカーペットを歩きたかったけれど、間に合わなかった。カメラを持って行ったので、キャストとスタッフの皆さんとともに一緒に写真を撮ってきました。それだけのために行ってきました」

太賀にとって初めてのカンヌ。その感想を聞くと、顔をほころばせ、感激した様子を見せた。

「カンヌにいるのが夢みたいでした。『あぁ、カンヌ』ってため息ばっかしていた気がします(笑)。ただ、レッドカーペットを歩けなかったことにものすごく後悔があって。だからレッドカーペットをちょんちょんとさわって“また来るぞ”と祈って帰ってきました」