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(写真・AFLO)

9月29日、カナダ・モントリオールで開催されるオータム・クラシックで、今季初戦を迎える羽生結弦(21)。その大事な試合を前に、羽生が今季初となるスケーティングを13日、カナダ・トロント郊外の『クリケットクラブ』で披露した。

練習後のインタビューで目標を聞かれると「もっともっとレベルアップしなきゃいけない。自分の最大限のパフォーマンスができるのは、こういう構成かなと思って作りました」と力強く回答。初戦から五輪本番にのぞむかのような入れ込みぶりを見せる羽生。それを示すように今季の羽生には“秘密兵器”があると、前出の現地スケート関係者が語る。

「今シーズンが始まる前、スケート連盟の幹部とオーサーコーチらが話し合い、EDEA社の『PIANO』という超軽量化された靴の使用を羽生にアドバイスしたんです」

ニューシューズを取り入れて、ジャンプの練習に励んできた羽生だが、関係者の間ではその“秘密兵器”は両刃の剣だと心配する声が少なくない。

「選手によっては靴を軽量化してうまくいく場合もあります。確かにジャンプが跳びやすくなるのですが、跳び過ぎることで、全体のバランスが崩れ、ケガのリスクが高まることもあるのです」(前出・現地スケート関係者) 

オーサーコーチも、羽生のケガについてはかなり神経質になっているという。そもそも今年3月末に行われた世界選手権終了後、羽生は『左足リスフラン関節靭帯損傷』のケガを負っていることを発表し、リハビリ生活を余儀なくされた。医師から1カ月半もの間、歩行を禁じられ、リンクに立ったのは6月上旬になってからだった。

7月下旬に数カ月遅れで新シーズンの新プログラム作りに着手。ようやく今月の練習公開にこぎつけたが、今シーズンの復帰について直前までオーサーコーチは否定的だったという。 

「彼は遅れを取り戻そうと、焦っています。2カ月近く休養を取った影響で、脚力(筋力)はかなり低下。適度に休みながら、ケガと上手に付き合っていくしか方法はないわけですが、いまの練習はあまりに急ピッチすぎる」 (前出の連盟関係者)

羽生はなぜそんなに前のめりになるのか――。

「昨シーズンはピークを早く持ってきてしまい、シーズン終盤の世界選手権に敗北。同じコーチに学ぶハビエル・フェルナンデスの後塵を拝しました。それだけにオーサーコーチとしては、左足の故障明けの今シーズンは、慎重にスケジュールを組み立てたかったという思いが強かったようです」(前出の連盟関係者)

しかし、羽生はまったく逆の思いでいると連盟関係者は続ける。

「もっともっと強くなりたいという気持ちを抑えられないでいます。オーサーコーチの抑制も聞かず、『左足が壊れても勝つ!』と言わんばかりにケガのリスクのある、誰も公式戦で飛んだことがない高難度の4回転ループに挑もうとしていますから」

羽生は、あるスケート関係者にこんな気持ちを吐露している。

「スケーターのピークは22〜23歳までだと思うんです。23歳までにスケーターとしてやりたいことを全部やらないと、23歳を超えてからでは絶対に出来ないと思うんです。歳を取ってから、あのときあれをやっておけばよかったと後悔したくないから、今、全力で難しいプログラムに挑戦するんです」 

そんな羽生に、振付師ジェフリー・バトルが提案した曲は、急逝したプリンスの『レッツ・ゴー・クレイジー』だった。“残り時間はどれくらいあるのか。人生は君自身のものだからより高みをめざそう”というニュアンスの歌詞に羽生はいたく感銘したという。

誰も到達したことのない高みを目指す今シーズン、理想のいるべき“場所”に無事たどり着くことはできるのだろうか。