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「この30年間に限ってみても、歴代の知事は都民が本当に望む都政を進めていなかった。都民への思いや都政にかける熱意が、最初からなかったんじゃないですかね。ただ都知事という“地位”が欲しかっただけとしか思えません」

こう語るのは、地方自治ジャーナリストの相川俊英さん(60)。291万票を得て、小池百合子都知事(64)が誕生して2カ月。豊洲への市場移転延期、五輪施設の建設費への問題提起と、「これは期待できるかも!」と考える人も増えてきている。彼女が光を当てようとしている都政の“ブラックボックス”。それは、どのように生まれるのか。相川さんに解説してもらった。

都民に直接選挙で選ばれる都知事は、まさに都民の“代表”。国会の指名によって選ばれる内閣総理大臣と比べて、予算を組み、条例案を作成するなど、より強い権限を持たされている。

一方、こちらも直接選挙で選ばれる都民の“代表”として都議会議員がいる。これが憲法98条によって定められている、地方行政の“二元代表制”というもので、都議会には行政をチェックする機能が持たされている。つまり、都議会を通さなければ、何をすることもできない。

そこで、都の役人たち、いわゆる“都庁官僚”にしてみれば、本来は自分たちのボスである都知事はさておき、まずは都議会を押さえることが重要になってくる。

「都政についてあれこれ口を出してくる都知事は、彼らにとって、邪魔でしかありません。舛添さん(舛添要一前都知事)のように、“都市外交”とか“美術振興”とか、聞こえはいいけど、実のないことをしてくれていたほうが都合がいい。お飾りでいてくれたほうがいいんです。それで今まで都政は回ってきたわけですから。財政が豊かな“金満”自治体だから、都庁官僚たちにしてみれば、金持ちケンカせず、仕事せずで、自分たちに都合よく回していけばいいんです。都の官僚体制はがっちりしていますから、表面的には大きな破綻なく回っていくのです」

こうして都庁官僚と都議会のボス同士が話し合い、なれ合い、調整し、談合することで、都政はずっと行われてきたと、相川さんはいう。

「そんな都庁官僚と都議会の癒着が大きな利権を生むことは、想像に難くありませんよね。東京都にはたっぷりお金もありますし。もちろんその部分には誰にも触れてほしくない。都知事であれば、そこに斬り込むこともできるのですが、今まで誰もしなかった。できなかったのです。支持してくれて、当選させてくれた『自民党東京都連』には恩がある。だから『都議会自民党』が最大会派である都議会とは対立するわけにいきませんよね」

こうして選ばれる、都民に対して思い入れのない都知事。その都知事に突っ込まれることもなく癒着し続ける都議会と都庁官僚−−。もし都政に“ブラックボックス”というものがあるのであれば、そうした3者の構図が生み出しているのかもしれない。