▼沖縄県南城市の遺跡で、世界最古となる後期旧石器時代の釣り針が出土した。巻き貝の底を割って三日月形にし、磨いて先端が徐々に細くなるようにとがらせていた▼陸上での狩猟が中心と考えられていた旧石器時代の新たな一面をうかがわせる発見。公表された写真を見ると、その形は美しい。約2万3千年前という大昔、旧石器人が生きるために必死だった様子が伝わってくる▼釣り針が2万3千年という歳月を経ての出土なら、こちらはその4倍超に当たる10万年先の出土になりそうだ▼原子力規制委員会が原発の廃炉で出る放射性廃棄物のうち、制御棒など放射性物質濃度が高い廃棄物の処分基準原案を了承。放射性物質の影響が減少する10万年後まで地下70メートルより深い所へ埋設させ、埋設から300〜400年は漏えい監視を事業者に要求するという▼国内では運転開始から40年前後の四国電力伊方原発1号機(愛媛県)など5原発6基の廃炉が決定しており、原案を踏まえ、基準の骨子を来春まとめる▼事業者は300〜400年存続するのか、日本という国は10万年後もあるのか、疑問が尽きない。あると仮定しても、後世の人々は、われわれが釣り針に感じる思いと異なり、自分たちの生活を豊かにした原発の負の遺物をよくも残してくれたなと思わずにはいられないだろう。