▼米アリゾナ州のフォート・ユーマはたぶん地球上で一番暑いところだろう。寒暖計は年中、日陰でも49度。ここの住民は恐ろしい暑さに慣れているので、こんな言い伝えがある。昔、極悪非道の兵隊が死に、すぐさま焦熱地獄へ落ちていった。だが次の日、その男から電報が届いた。「毛布タノム」▼トランプ次期米大統領が世界各国が取り組む地球温暖化対策に否定的なのは、自国の作家マーク・トウェインのこの短編を読んだからでは無論あるまい▼だが、気候変動に関する観測データを政府のホームページから閲覧できなくする恐れがあるとして、研究者たちが保存活動を始めたと聞くと、薄ら寒さを感じる▼そのトランプ氏が大統領選後初めての記者会見を行ったが、その中身は世界一の経済大国を率いる次期大統領の通商戦争宣戦布告とも受け取れるものだった▼「私は最大の雇用創出者となる」「海外に生産拠点を移す企業には高関税を課す」「中国との貿易で毎年、何千億ドル(何十兆円)も失ってきた。日本、メキシコ、他の全ての国々ともだ」▼「米国第一」に基づく発言は戦後経済を支えてきた自由貿易体制を揺るがす。大統領選勝利を画期的な出来事と自賛するトランプ氏。米国や世界にとってどういう意味で画期的であるのかが判明するのは「次期」が外れる20日以降の仕事ぶりだ。