第107回インディ500は、終盤に赤旗が3度出される波乱の展開となった。ファイナルラップのリスタートを経て、優勝したのはジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)だった。

 2度目の赤旗の後、残り4周で迎えたリスタートの際に多重クラッシュが発生したことを受けて、レースコントロールはイエローコーションのままレースを終えるのではなく、3度目の赤旗を出してレースを中断し、ファイナルラップをアンダーグリーンで迎えることを決定した。

 その結果、首位に立っていたマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ)を抜き去り、ニューガーデンがインディ500を初制覇するチャンスが生まれたのだ。

 この判断について、エリクソンは「不公平で危険だ」とコメント。ポジションを守る術はなかったとも主張した。

 ニューガーデンはエリクソンの立場についても理解を示しながらも、レースコントロールの判断に感謝した。

「良いフィニッシュができるように彼らがやってくれてハッピーだ」とニューガーデンは語った。

「もし僕がマーカスの立場だったら、『ああ、もう終わりにしてくれ』と言っただろうね」

「これがフェアだとか、あれがフェアだとか、いろいろな言い方ができると思う。僕はそれをすべて見てきた。今のところ僕はただ、彼らがあのようにやってくれたことに感謝している」

「本当に気にしていないよ! 僕は思い通りにならない状況をたくさん見てきたんだ」

「僕たちの思い通りになったのだから、それを受け止めよう。今日一日、そう思うことにするよ」

 ニューガーデンは、残り4周のリスタートの時点で首位に立っていたが、リスタートでエリクソンに交わされてしまった。その直後にコーションが出され、最後のリスタートに2番手で臨み、エリクソンにやり返した形だ。

 ニューガーデンもエリクソンと同じく、首位を走るマシンは”カモ”であり、激しくラインを変える”ドラゴン・ムーブ”は致し方ないと語った。

「1台のクルマを追いかけるのは簡単だから、あの動きを使わないわけにはいかない。今年はより難しくなったんだ。トップをキープするのは、昨年までよりもさらに難しくなっていると思う」

「バックストレートで彼を抜いた後、彼がまだターン3、ターン4で勢いがあることに驚いた。彼はとても近くにいたし、ターン4の立ち上がりで素晴らしい走りをした。僕は彼に抜かれないようにアグレッシブにしなければいけないと思った」

「今日、僕たちはレースに勝つチャンスを得た。レースに勝つか、壁にぶつかるか、そのどちらかだった。今日は2位、3位、4位でゴールするために来たんじゃない。勝つために来たんだ」

「だから、最後の最後でできることをすべてやったんだ」

 ニューガーデンはエリクソンを振り切るべくラインを変え、ピットレーン入り口のホワイトラインもまたいだが、彼はインディカーがそれを禁じるルールを施行するまでは、ドライバーはそれを続けるだろうと話した。

「ピットレーンを走り抜けるところだった。僕はそれが合法だったとしか言いようがない」

「彼らはそのラインを強制しないとはっきり言っていたし、昨年もそうしてはいなかった」

「チェッカーフラッグを受け、このレースに勝つために全力を尽くした。1台のマシンに対するトウ(スリップストリーム)の効果は昨年以上に大きかったので、できる限りアグレッシブでなければならなかった」