▼好影響をもたらしている追加副審


フジテレビにて生放送されたYBCルヴァンカップ決勝『ガンバ大阪vs浦和レッズ』を見て、驚かれた方も多いのではないだろうか。

「なぜゴールの横に審判員がいるの?」

ということで、今回はゴールの横にいる追加副審(アディッショナルアシスタントレフェリー)について説明したい。

追加副審とは、「得点の見極めの確度を高めると共に、ペナルティーエリア内のプレーにおいても、より正確なレフェリングを行うことを目的」(JFA.jpより)として新たにJリーグの一部の試合でも導入された。いち早く導入したのが欧州サッカー連盟で、ピエルルイジ・コッリーナ氏は追加副審を導入したEURO2012後、「一番の成果は、特にペナルティーエリア付近でのファウルについて、主審のポジションから見えない場合も正確なジャッジができるようになった」(UEFA.comより)と分析している。

またセットプレー時に、選手たちが追加副審に監視されていることを感じ、ホールディングやブロック、ユニフォームを引っ張る行為を自制するという相乗効果も起きた。それはEURO 2012でのヘディングシュートによるゴール増加が物語っている。

そして、審判団にも良い影響を与える。コッリーナ氏は「副審のオフサイドの精度も上がった。これは副審が、ペナルティーエリア内でのプレーにわずらわされることなく、オフサイドの判定のみに集中できたことだ」(UEFA.comより)と胸を張る。

▼全試合導入に向けての課題


では、YBCルヴァンカップ決勝『ガンバ大阪vs浦和レッズ』では追加副審を加えたことで、どのような効果があっただろうか。

この試合で分かりやすく追加副審が活きたシーンは、延長後半6分のボールアウトか。リプレイで確認して、判定の精度に驚いたが、駒井の足にラストタッチしていたのを審判団でしっかりと見極めていた。他にも、難易度が高い見極めではなかったが、119分の呉屋のシュートがゴールラインでクリアされたシーンも、より難しい状況でも追加副審が見極められたと思う。セットプレー時にも、PKかどうか物議を醸すようなホールディングやブロックもなく、副審のオフサイドでのミスもなかった。これらも追加副審の相乗効果として挙げられるかもしれない。

そんなプラスしかない追加副審ならば、全試合に導入すべきでは?という声もあがりそうだが、そう簡単ではない。先述したように、追加副審にはペナルティーエリア内でのジャッジが求められる。そうなると第四審判員のように、下のカテゴリーの審判員を割り当てることが出来ず、現在のトップレフェリーの数では人手不足になってしまう。YBCルヴァンカップで追加副審が導入された準決勝、決勝のアポイントをみても、山本雄大、今村義朗、村上伸次、福島孝一郎、高山啓義、廣瀬格、飯田淳平、上田益也、木村博之とJ1トップのレフェリーたちの名前が並ぶ。その彼らもJ3での試験導入を経てからビッグマッチの追加副審についている。

上川徹氏は、以前、FootBallRefereeJournalの取材に「追加副審も、集中力を切らさないという難しさがありますし、主審に基準を合わすことも必要になります」と"主審とは違う難しさ"を教えてくれた。さらにいえば、他国では、追加副審がいながらも"幻のゴール"が起きたケースもあった。『追加副審=万能』な訳ではない。

とは言え、私は追加副審導入に賛成である。読者の皆さまは、どのように感じましたか?



石井紘人 Hayato Ishii



ベストセラーとなった『足指をまげるだけで腰痛は治る!』(ぴあ)に続き、サッカーに特化し、『SOCCER KOZO』(ガイドワークス)編集部と作った『足ゆび力 つま先を使うだけで一生健康でいられる』が絶賛発売中。また、審判批評に特化したFootBall Referee Journalも運営。ご意見やご感想はツイッター:@FBRJ_JPまで。