ワシントン州シアトル市はアメリカ合衆国北西部に位置する。隣国カナダの国境からは車で二時間あまり。国境から30分ぐらいの距離には、日本人観光客も多いバンクーバーという都市もある。

9月19日、マリナーズの本拠地セーフィコ・フィールドは、普段とは少し違う雰囲気に包まれていた。チームからのネイビーブルーとエメラルドグリーンではなく、青と赤に包まれた人々に占拠されていたからだ。

それもそのはず、この週末の対戦相手は青と赤がチームカラーのブルージェイズだった。球場横の駐車場には観光バスが5台前後。聞けば国境を超えてカナダ唯一のメジャーリーグ球団を応援に来たという。

「(本拠地の)トロントに応援に行ければ最高だけど、私が住んでいるところからは飛行機でも4時間以上かかる距離だし、費用もかかる。それに比べれば車の長距離移動なんて大したことない。それに私は毎年、ブルージェイズ戦の時にシアトルを訪れているんだが、いつだってチケットを取るのが簡単なんだよ」

悲しい事実である。

マリナーズの本拠地セーフィコ・フィールドの収容人員は最大で4万7,943人である。今年のホームゲームの平均入場者数は2万7,894人でメジャー19位に相当する。3万人を超えるのは週末のみで、4万人を超えたのは今季ここまで11度あったが、金曜日からの週末の三連戦すべてで4万人を超えたのは一度だけである。

ちなみに全米屈指のBaseball Town=野球の町として知られるセントルイスは平均4万2,826人でメジャー2位、サンフランシスコは同4万1,561人でメジャー3位、シカゴ(カブス)は同3万9,843人でメジャー5位、ボストンは同3万6,445人でメジャー8位だ。1位はロサンゼルス(ドジャース)の4万5,413人である。

もちろん、シアトルはロサンゼルスやシカゴ、サンフランシスコといった大都市と比べれば人口が少ないし、周辺地域の人口を含めても大差があるので単純な比較はできない。だが、たとえばボストンがシアトルと同等かそれ以下の人口であり、シアトル同様、競合するプロ野球チームも近隣に存在しないという事実を考えれば、(プロ野球本拠地の歴史や伝統ということを差し引いても)もう少しお客さんが入ってもいいような気がする。

ブルージェイズとの3連戦、青いユニフォームが姿を現しただけで観客から大声援が飛び、マリナーズの投手が一塁走者をけん制しただけでブーイングが出た。まるでシアトル・ブルージェイズの試合を観戦に来たような感じである。

「アウェー感があったので、気持ちだけは負けないようにした」と20日の試合で今季12敗目を喫した岩隈久志投手。

「ホームなのにアウェー感があって、プレーオフを思い出した」と19日の試合で4打数無安打に終わった青木宣親外野手。

ブルージェイズとの三連戦、セーフィコ・フィールドの平均観客動員数は3万5,992人と、いつものマリナーズ戦よりはるかに多かった。

今さらながら、「任天堂がマリナーズの他都市への流出の危機を救った」の意味が初めて分かったような気がする。