東日本大震災後、仙台市太白区の「あすと長町仮設住宅」に住む被災者有志によって生まれた陶器「あすと焼き」が、新たな歴史を紡ぎ始めた。仮設住宅からの退去で途絶えた創作活動を、市内の福祉施設に通う若者たちが継承。25日に初の作品販売会を開く。
 あすと焼きは、仮設入居者約20人で2012年4月に結成した陶芸愛好会が、交流や生きがいづくりとして考案した。天災を表す黒、平和を意味する白、希望を示す赤など6色の粘土を重ね合わせ、手探りで困難を乗り越えるプロセスを表現した。
 復興への願いを託した作品を各地の祭りなどで販売してきたが、住宅再建が進むにつれて仮設入居者も減り、愛好会は14年に自然解散を余儀なくされた。
 いったん休止となったあすと焼きを復活させようと、愛好会で講師役を務めた宮城野区の元小学校長木村秀三さん(64)が、太白区のデイケアサービス施設「ころろ」に継承を提案。今年4月、再び創作活動が始まった。
 ころろには、対人関係など社会に適応できない悩みを抱える10〜30代の約20人が通う。自立支援活動の一環として月2回、あすと焼きの陶芸教室を開き、利用者が制作に励む。
 橋渡しした木村さんは「ともに『生きづらさ』を抱える若者と被災者の姿が重なる。復興への思いをつないでほしい」と話し、愛好会の元会員らと共に施設の活動をサポートする。
 販売会は25日午前10時〜午後2時、太白区長町南の市太白障害者福祉センターで開催。猫の置物やマグカップ、ブローチなど約20点を利用者が自ら売る。
 若林区の太細(ださい)由美子さん(22)は「震災を忘れないという気持ちを込めて作品を作った」と話し、太白区の真壁啄也さん(24)は「被災者の思いを受け継ぎ、少しでも復興の役に立ちたい」と意気込む。
 連絡先はデイケアサービス施設「ころろ」022(304)5311。